車両も駅も中国流、「ラオス鉄道」開業直後の姿 「列車で東南アジアへ」欧州鉄道ファンも注目
「週末だったこともあり、駅に行ったらたまたま買えたので、真新しい列車を試すことにした」。ラオスに駐在する古賀俊行さんは、旅客運行初日の12月4日、ビエンチャンからルアンパバーンまでを往復したという。
切符を買う時にパスポートのチェックは行われるものの、切符券面への氏名やパスポート番号の記載はない。一方、列車に乗る際には、発車1時間前までに来てほしい、という要請もある。コロナ対策で接種証明の提示や発熱の有無の確認、ソーシャル・ディスタンスの維持など、なかなか厳しい対応が待っているからだ。
当初は「乗車前72時間以降に行ったPCR検査の結果を持参」という条件もあったが、現状では運行がラオス国内区間のみだからか、こうした手間はなくなっている。
現在は車内での飲食禁止
筆者の調査では、中国との国境からビエンチャンまでのラオス国内全線を通じ、運営に当たっているのは雲南省を拠点とする中国鉄路昆明局集団公司(以前の昆明鉄路局)だ。こうした背景もあり、車両はもとより駅関連の施設や装置は中国国内のものとほぼ同じとなっている。
検問を受けてから列車に乗るのも中国と同じだ。「駅舎に入るには、中国の鉄道で行われている”三品検査”(危険物や燃えやすいもの、爆発物などの検査)に似た荷物検査、身体検査を受ける」(古賀さん)。襟の裏を触られるなど検査が入念なのも中国の事情と似ている。
中国の長距離列車の楽しみは、車内や駅頭で沿線の名物を買ったり食べたりすることだ。ところがラオス国内区間については目下、「コロナ対策で車内での飲食は禁止」と楽しみが奪われてしまっている。昆明発の列車については「沿線の名物にちなんだ料理や弁当を売る」と伝えられているが、車内飲食が自由になる日が早く来ることを期待したい。
車内では地元の乗客がタブレットやスマートフォンを使って動画を楽しんだり、会話したりしていたという。静かに車窓を楽しむという雰囲気ではなさそうだが、これも現地の習慣と思って受け入れたい。車内からのネット接続は「トンネルが多いものの、乗った区間の半分くらいは通じていた」と古賀さんは話す。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら