車両も駅も中国流、「ラオス鉄道」開業直後の姿 「列車で東南アジアへ」欧州鉄道ファンも注目
ビエンチャン―ルアンパバーンの優等列車普通席運賃は片道で110人民元(約2000円)と、東京―豊橋間に匹敵する300kmほどの区間としては日本と比べ格段に安い。運賃は中国人民元をベースに決められており、ラオスの現地通貨キップでの支払い額はレート変動によって変わるとされている。また、1月1日時点では中国国内各駅への直通運賃は発表されていない。どんな形の「国際列車用きっぷ」が出てくるか楽しみなところだ。
中国ラオス鉄道の開通を受け、ラオスから遠く離れた欧州の鉄道ファンも沸いている。中国と東南アジア、具体的にはマレー半島方面へ鉄道がつながったことになるからだ。
今回の鉄道開通により、欧州からはロシアなどを経由して中国へ、そして中国ラオス鉄道を経てタイ国鉄に乗り継ぎ、マレー鉄道へと向かう接続ルートが実現した。英国の新聞インディペンデントは「欧州から列車を乗り継いでシンガポールに行ける」「所要日数は約21日、運賃の総合計は1000ポンド(約15万5000円)」と、いかにも鉄道好きのイギリス人が考えそうな記事を掲載した。
記事は「コロナ禍の影響で、中国からラオスへの入国さえもできない」と述べ、すぐに実行に移すのは難しいとするが、実現可能なルートだ。各国の行動制限が緩和されれば、実際に3週間余りをかけてユーラシア大陸の西の果てから南端のマレーシアやシンガポールを目指す若者が出現しそうだ。
元JR車両がタイとラオスを結ぶ
そうした中、タイ国鉄からも興味深いニュースが流れてきた。JR北海道から譲渡を受けた、特急「北斗」や「オホーツク」として使われていたディーゼル特急車両「キハ183系」を、タイとビエンチャンとを結ぶ観光列車として使うという計画を打ち出したのだ。
経路はタイ東部のウドンタニから国境のノンカイを経てラオス側に入るという形になりそうだが、実現すれば、元JRの旅客車両が国際列車運行の任を負うことになる。国境検査のためにパスポートを持って、日本の特急車両に乗る各国からの旅行者の姿を見られる日を楽しみにしたいものだ。
タイとラオスとの鉄道については、筆者が2021年11月11日付記事(「中国規格」でラオス直結、国際鉄道は成功するか)で述べたように、タイ東部のノンカイからラオス側のタナレーン駅(ビエンチャン近郊)間へ向かって、メーターゲージ(軌間1m)の線路がある。わずか5kmのこの区間には、タイ国鉄がラオス側と共同で短距離の国際列車を運行している。
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