上野双子パンダ誕生から半年ぐんぐん成長の記録 母の後を追って「外の世界」も少しずつ体験

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双子が活動できる範囲も広がっている。10月下旬から水飲み場の水に興味を示し、口や四肢をつけてみるようになった。

双子が初めて屋外に出たのは11月10日。シンシンの後を追って、屋外の非公開エリアに出た。双子は驚かず、出入り口付近を探検。シンシンも落ち着いていた。室内に入ったシンシンを追って、双子は2分ほどで室内に戻った。その後、双子が屋外にいる時間は少しずつ増えているものの、12月中旬時点では、長くて15分ほどだ。

室内での双子は、寝ている時間以外は、シンシンにじゃれついたり、双子同士でじゃれ合ったり、丸太や柵につかまって後ろ足で立ち上がったりしている。11月下旬には丸太に登ろうとしたこともある。12月になると、少しずつ木に登れるようになってきている。

個性も出てきた。シャオシャオは、シンシンにしつこくじゃれついたり、レイレイに強気な態度で取っ組み合いを仕掛けたりする。一方、レイレイは1頭で竹をかじったり、水場で遊んだりしている。レイレイはシャオシャオにしつこく絡まれると、よく鳴き声をあげているそうだ。

パンダは一般的に、雌よりも雄のほうが母親に甘えるとされる。シャオシャオがシンシンにじゃれつくのは、もしかしたら、こうしたパンダの性質によるのかもしれない。

母親のシンシンと双子のレイレイ(手前)、シャオシャオ(奥)。2021年12月6日撮影(写真:公益財団法人東京動物園協会提供)

パンダ来園50周年の年に双子お披露目

シンシンは12月16日と17日の日中、屋外の放飼場を通って、室内展示室に入った。2022年1月12日から始まる公開に向け、環境に慣らすための練習だ。ここはシンシンが出産前まで暮らしていた場所。久しぶりに戻ったシンシンは、落ち着いて竹を食べたり、休んだりした。夜になると、双子がいる非公開エリアに戻った。

図の「室内展示1号室」で母子の公開が始まる。図は東京動物園協会作成(写真:筆者撮影)

12月18日には、シンシンを再び室内展示室に行かせた後、シャオシャオとレイレイも同じ場所に移した。双子にとっては初めての場所だ。双子は室内の木に登ったり、じゃれ合ったりするなど、活発に動き回った。

シンシンが出産前に暮らしていた頃、この室内の木は、モルタル製の擬木(ぎぼく)だった(参照:『シャンシャンに弟妹?上野「新パンダ舎」の底力』)。

その後、園内の本物の木を切って室内に移したので、木の配置も変わっている。12月中旬時点では、1本の太い木に、2本のやや細い木を立て掛けるようにして、2つのなだらかな傾斜をつくっていた。公開が始まれば、双子が木で遊んだり登ったりする様子も見られるかもしれない。

双子は部屋が変わっても、母乳も人工乳もしっかり飲んでいる。特に問題はないため、母子はこれ以降、室内展示室とその隣の寝室で暮らしている。シンシンは、清掃時などに屋外放飼場へ出すこともあるが、双子はしばらく出さない予定。公開に向け、人の動きや物音に慣らす練習を非公開で慎重に進める。

2022年は、上野動物園が1972年10月にパンダの飼育を始めてから50年の年に当たる。シャオシャオとレイレイは、約50年間で初めて生まれた双子のパンダ。これからも成長が楽しみだ。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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