日本人の考えがコロナで180度変わった根本理由 今こそ「自分の感情」と向き合いライフシフトを

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リンダと私は長生きについてよく議論するのですが、今が大きなチャンスだと思っています。重要なことが何かを探し、それに集中するチャンスです。つまり価値観の転換ということです。

ゼロベースでの働き方の見直しが始まった

リンダ・グラットン(以下リンダ):とくに日本について話すと、人々の働き方がガラッと変わったことに私は非常に驚きました。たとえば富士通では、たった1週間で6万人が在宅勤務することになりました。日本の企業ではなかなか考えられないことです。

多くの日本人の経営者が「もう従来の働き方に戻ることはないだろう」と言いました。それはライフシフトにとって素晴らしいことです。なぜなら、アンドリューと私が『ライフ・シフト2』にも書いているように、人々が自分の人生に自主性と柔軟性を持つことが非常に大切だからです。

リンダ・グラットン/英ロンドン・ビジネススクール経営学教授。人材論、組織論の権威で、2015年に同校の卓越教育賞を受賞。世界で最も権威ある経営思想家ランキングであるThinkers50では、世界のビジネス思想家トップ15にランクイン。18年には安倍晋三元首相が「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命。著書に『ワーク・シフト』など(撮影:尾形文繁)

パンデミックの前まで、日本人には働く時間や場所を選ぶ自由度はほとんどなかったと思います。しかし、今はより柔軟に選べるようになりつつあるのです。

人間の習慣が変わるには、最低でも12週間はかかりますが、パンデミックが生じてすでに1年半が経っています。私たちは自分の働き方を変え、お金に対する見方を変え、生きがいについて考えるようになったと思います。

今、世界の多くの国で大量退職の時代が訪れています。人材紹介会社によれば、一部の企業では、50%もの人が別の仕事を探しているそうです。仕事を完全に変えてしまうという意味ではないと思いますが、誰もがこれからの人生にとって重要なことを探そうとしています。そして、これまでのやり方を変えようとしています。

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