ドル106円台で堅調、来週のFOMCにらむ 2008年のリーマンショック直後以来の高値に

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 9月9日、東京外為市場午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の106円前半。ソウルで2010年10月撮影(2014年 ロイター/Truth Leem)

[東京 9日 ロイター] - 東京外為市場午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の106円前半。新規材料に乏しいものの、ドル全面高ムードが広がる中、ドルは一時106.34円付近まで上昇し、5年11カ月ぶりの高値を付けた。朝方には投資家のドル買いも散見されたという。

ドルは朝方の安値105.94円付近から、午前9時前に106.17円まで上昇した。その後、仲値公示を挟んでいったん弱含んだものの、正午に向けて再度高値を追う展開となり、一時は2008年10月1日以来の高値となる106.34円付近まで上値を伸ばした。

一部投資家のドル買いが散見される中、短期筋の損失確定ドル買い戻しオーダーも巻き込んで、ドルの上昇が加速した。ドル買いの主体は短期筋だが「市場が興奮している感じはあまりなく、スルスルと静かに上がっている」(証券会社)との声も出ていた。

この日の高値106.34円をつけた後は新規材料に乏しく、午後3時に向けておおむね106.20円台でもみあった。

FOMC控えたドルロングの構築

ドル高の背景について、市場では、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、投機筋がポジションを仕込む動きがあるとの見方が出ていた。

野村証券・金融市場調査部のチーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は、新規材料がない中でドル高が進行した背景には「来週のFOMCに向けて、海外ヘッジファンドのポジション構築が後手に回っていたことがある」と指摘。ドル買いは、米金融政策に対する過剰なハト派期待を、市場が自律的に修正している過程の産物とみている。

スコットランド独立問題の先行きに不透明感が増す中、市場では英ポンドへの関心が高まっている。英サンデータイムズは7日、スコットランド独立をめぐる世論調査で、賛成派が51%と、反対派の49%を初めて上回ったと報じた。1カ月前の調査では、反対派が賛成派を20%ポイント上回っており、形勢は独立賛成派の方に傾いている。

英ポンドは、目下1.6086ドル付近で、10カ月ぶり安値圏での取引となっている。市場では「ポンド安がドル高のエネルギーの背景にある」(外為アナリスト)との見方もある。

他方、11月にはスペインのカタルーニャ州で分離独立の是非を問う住民投票の計画がある。市場では、スコットランド独立問題の影響が「独立機運がくすぶっているスペインのカタルーニャ地方やバスク自治州、ベルギーのフランドル地方にまで拡散する可能性も否定できない」(IG証券のマーケット・アナリスト、石川順一氏)との見方もあり、新たな政治リスクの浮上が警戒されている。

ドル/円

午後3時現在 106.23/25 1.2881/85 136.84/88

正午現在   106.21/23 1.2880/84 126.81/85

午前9時現在 106.12/14 1.2889/93 136.79/83

NY午後5時 106.02/04 1.2894/99 136.70/74

 

(杉山健太郎)

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