絶好調ワークマンが「職人用品を店の右に置く」訳 大半の店舗が年商1億円超えるレイアウトの秘密

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この当時、競合店のなかでは店の中央にカジュアル系の衣類を置くようにするところが出てきていたので、同じようにするのがいいのではないかという声も社内にはあった。だが、平野はその選択はしなかった。プロ向けはプロ向け、一般向けは一般向けに分けたほうがいいと考え、はっきりと両者を線引きするレイアウトにこだわったのである。

職人さんと一般客では、来店の時間帯も違えば、買い物の目的やスタイルも違う。職人さんはあらかじめ買いたいものが決まっていて、できるだけ早く買い物を済ませて現場に向かいたいと考えている場合が多い。

対して一般客は、店内の商品をあれこれ眺め、最初の目的にはこだわらず、気に入ったものを見つければ購入してくれる。滞在時間でいえば、職人さんとは比べられないほど一般客は長くなる。プロユースのコーナーには立ち寄らず、ショッピングセンターでの買い物を楽しむのと同じような感覚を味わおうとする人も多い。

こうしたことからいっても、両者のゾーンを分けてつくるようにしたほうがいいと考えたのである。

ポイントとなったのは「職人たちの習慣」

それでは店内をどう分割するのがいいか。

そこでポイントとなったのが、職人さんたちの習慣だった。既存店では、入り口の右側に手袋を置いてあったことから、職人さんたちは店に入れば、ほとんど無意識で右側へ進むようになっていた。その流れに逆らったレイアウトにすれば混乱を招く。

そこで従来のプロ向けの商品を右側に寄せて、レジに近い左側には一般客の需要が大きなPB商品を陳列するようにしたのである。そうすれば、職人さんたちは、店の右側で必要な商品を手にすればまっすぐレジに向かう。一方で、店内の左側を中心に商品を見て回る一般客は、ショッピングセンターのワークマンプラスに行くのと変わらない感覚で買い物を楽しめる。

全国の店舗をこのようなレイアウトに合わせていったことでもワークマンプラスの効果を生かしていくことができたといえる。

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