確かに世界で長く「ジャパン」のイメージを牽引してきたのは、高度成長期を経て、世界進出を続けてきた自動車や電機メーカーを中心とした大企業です。
一方で、最近、日本の新しいイメージとして需要があるものは、アニメや漫画、和食を中心としたコンテンツやサービスであり、一部を除けば、これらは中小零細企業が担っているモノ。クールジャパンファンドは、世界市場でニーズはあるものの、「ビジネス」として戦うには、まだまだ弱い存在であるコンテンツをサポートしていこうというファンドなのです。
なぜファンドなのか?
「クールジャパン事業のために何でファンドなのか?と言われますが、海外進出を単年度の補助金で支援するのは難しい。結局、種はまいたけれど芽が出ない、芽が出ても枯れちゃう。だから、芽が出て根がしっかり定着するまで、きちんと面倒をみていこうということ。そのためには、長期間にわたるリスクマネーが必要ということです」
このファンドのひとつの特徴が、中長期的な視点からサポートをするということにあります。一般的なファンドは回収期間が3年前後に設定されている場合が多いうえに、期待リターンもリスクに見合う形で高くないと、投資はしません。
しかしながら、このクールジャパン機構は、政府の財政投融資会計から300億円、全日空やLIXILなどの民間から85億円、計385億円(2014年8月現在)を出資金として受けている官民ファンドです。
あくまで「クールジャパン政策」が持つ政策的意義(日本の魅力を高めることと、日本経済に与える付加価値)と損失を出さないレベルでの収益性の確保を前提としており、短期的で高い金銭リターンを求めていません。
確かに中小企業であれば、魅力的なプロダクトやサービスをいくら持っているといっても、初めて世界市場に出るとなれば、文化や生活様式の違いの克服や、グローバルに戦える人材の育成など、長く時間がかかる課題に直面することは明確です。それに対して、長期にわたるリスクマネーがビジネスを支えるとなれば、クールジャパン機構はほかにはない存在価値があると言えます。
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