仏大統領選で人気急騰「超過激な極右候補」の正体 政治経験ゼロ、イスラム移民排撃するゼムール氏
ゼムール旋風によって、次期大統領選をにらんだ政治議論が高まる中、極右を嫌悪するフランスのメディアは、今のフランス国民の状況を踏まえ、中道右派LRのバレリー・ペクレス氏に注目している。
彼女は中道右派政党初の女性公認候補で、学歴を重視するフランスでは名門ビジネススクール、HEC経営大学院と政治家・官僚を輩出する最高学府、国立行政学院(ENA)を卒業している。ちなみに、日本在住の経験を持つ知日派だ。
ペクレス氏がLRの公認候補に選ばれた背景には、申し分のない高学歴に加え、彼女が高等教育・研究相や予算相、パリ首都圏イル=ド=フランス地域圏知事など政治経験豊富な女性政治家という点だ。
さらにフランスでの伝統的価値の基盤であるカトリック教の背景を持ち、2013年に施行された同性婚合法化と同性カップルの養子縁組合法化に反対する大規模なデモにも彼女自身参加した背景を持つ。
ユダヤ人のゼムール氏がフランスのイスラム化の脅威を強調している中、LRの支持基盤の1つであるカトリック教徒も同様の危機感を持っており、ペクレス氏は十分に移民対策に取り組めるという密かな期待感もある。
左傾化している多くのメディアも極右のゼムール氏と中道派の良識人、ペクレス氏を比べれば、ペクレス氏に好意的なのは言うまでもない。
右派に対して元気がない左派
中道のマクロン氏、右派系候補のペクレス氏、ルペン氏、ゼムール氏が出そろう中、左派は元気がない。
左派最大野党・社会党(PS)では、アンヌ・イダルゴ現パリ市長(62)が9月に大統領選に正式立候補を表明しているが、右派候補者のような勢いはない。唯一、極左「不服従のフランス」を率いるジャン=リュック・メランション氏(70)が、ゼムール氏の当て馬としてメディアに登場しているが、時代遅れの左翼主義者への支持は限定的だ。
ゼムール旋風が吹き荒れるフランスだが、メディアは移民と治安の関連性を切り離すことに必死だ。連日、ゼムール氏を「ファシスト」「独裁者」として超危険人物のように報じているが、今はSNSの時代なので、フランスの右旋回は止まる気配がない。さらに政治家の実行力に不満を持つ若者は多く、コロナ禍で医療機関の不足に十分に対処していないとマクロン政権批判も高まっている。
前出の建築家のポワリエ氏は「とにかく、政治家は約束したことを実行し、目に見える形で結果を出さなければ価値がない」と言い、「耳当たりのいい理想主義や観念論に終始する左派政治家の言説は説得力がない」と言い切る。
とにかく明確な国家再建のプログラムを持ち、それを確実に実行してくれるリーダーが求められているのは、日本だけではないようだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら