ベラルーシから欧州へ「移民殺到」人道的な大問題 英国はロシアとの偶発的な戦争リスクに言及

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ベラルーシのポーランド国境近くに殺到しているイラクからの移民。キャンプは11月19日に撤収された(写真:James Hill/The New York Times)

現在、EUの東の国境でベラルーシを経由した移民問題が勃発し、大きな国際問題となっていることをご存知だろうか。これに関連して、イギリスの制服組トップであるカーター国防参謀長は、「冷戦時代のいかなる時点に比べても、ロシアとの偶発的な戦争のリスクが高まっている」と発言している。

遠い日本にいると、「戦争のリスクが高まっている」と言われても、という感じがする。EU国境で、いったい何が起きているのだろうか。今回の事案はやや経緯がわかりにくいので、まずは、事態の推移を簡単に整理してみたい。

中東移民がベラルーシからポーランド国境に殺到

11月8日、ベラルーシとポーランドの国境に、ベラルーシ側から数千人規模と言われるシリアからの移民(多くがクルド人)が、武装したベラルーシの治安当局者に付き添われて押し寄せた。しかも、治安部隊は移民たちをポーランド側へ越境ポイントではなく、森を抜けて不法入国させようとしたのである。これは、ベラルーシによる意図的な移民の輸送ではないか、ということで、問題が激化したのだ。

ポーランド側も組織的に移民を送られては困るので、国境に100キロ以上に及ぶ有刺鉄線を構築し、侵入してくる移民に対して、催涙弾や高圧ポンプによる放水を使って、侵入を押しとどめている状況だ。

ポーランド側は有刺鉄線を構築するなどして、移民の侵入を阻止しようとしている(James Hill/The New York Times)

困ったのは行き場を失くした移民たちで、国境付近にとどまったままだ。家族連れもおり、その数は2000人から4000人に上ると言われている。ポーランド側へ投石するなど暴徒化しつつある。

事の発端は今年の5月にまでさかのぼる。ベラルーシが民間航空会社ライアンエアーの旅客機を強制的に着陸させ、搭乗していたベラルーシ人の反政府ジャーナリストを拘束したのは日本でも話題になった。

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