FRBパウエル議長が見せた想定外事態への備え

想定外の力強さを示す経済指標に対応する

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が資産購入のテーパリング(段階的縮小)について、ペース加速を検討する姿勢に転じたことで、米金融当局は2022年に一段と機敏な行動を取る道が開かれた。インフレ高進が予想より長引けば早期の利上げに踏み切る一方、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が悪化すれば引き締めを手控える。

パウエル議長のこうした姿勢転換は、物価上昇が広範囲にわたるとともに、失業率低下にもかかわらず労働供給は引き続き伸び悩むなど、米金融当局者にとって想定外の力強さを示す経済指標に対応するものだ。

米雇用者数、11月は21万人増に減速-失業率は予想以上の低下 (3)

パウエルFRB議長Photographer: Al Drago/Bloomberg

パンデミックやオミクロン株を巡る不確実性の下で、米金融当局は雇用やインフレの刻々と変化する見通しについてコミュニケーションに力を入れ、柔軟な姿勢を強調するものと考えられる。

08-09年の金融危機を受けて実施された量的緩和(QE)の場合、超スローペースでテーパリングが進められたが、景気拡大と物価高という米金融当局が過去何十年間も直面することのなかった現状にあって、前回のやり方は当てはまらない。

元FRBスタッフで、現在はブルームバーグ・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は米金融当局について、「姿勢を転換しつつある」と指摘した上で、「インフレ予測に大きな誤りがあった点を踏まえ、政策策定の裁量的な部分に一段の重点を置いている様子がうかがわれる」と話した。

パウエル議長は先週の議会証言で、高インフレについて「一過性」という表現を「取り下げる」時が来たとの考えを示すとともに、今月14、15両日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)会合でテーパリングを従来想定の22年半ばよりも数カ月前倒しで完了することを検討する方針を表明した。

パウエル氏、「数カ月早い」テーパリング終了検討も-高インフレで (2)

こうした政策転換が次回会合の2週間ほど前に示されたことで、アナリストの一部は来年予想される米利上げ回数を上方修正している。エバコアISIのクリシュナ・グハ、ピーター・ウィリアムズ両氏は3日のリポートで、「22年には6月と9月および12月に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ、計3回の利上げがあるという基本シナリオにわれわれは移行している」と説明した。

民主・共和両党議員は当面、パウエル議長が何らかのインフレ対策を講じるよう望んでいる。議員は通常、金利を低水準に据え置くことを米金融当局に期待し圧力をかける傾向があり、現在の議会の風潮は当局にとって政治的に大きな追い風と言えそうだ。

原題:

Powell’s Fast-Taper Signal Presages Agile Fed on 2022 Rate Hikes(抜粋)

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著者:Craig Torres

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