鉄道バリアフリーで「料金徴収」受け入れられるか 利用者全体で「薄く広く負担」する意味とは?

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同時に思うのは、国や地方公共団体は各地の鉄道事業に対してどのように向き合うのか、という姿勢を明確にすべきということである。

バリアフリーというと、国民としても応分の負担をするべきだという気持ちになることが多い。いま自分がバリアフリーを必要としていない若者であっても、老いていく両親を見たり、老いていく自分を想像したり、事故や病気で今までのように歩けなくなる自分や家族を想像すれば、「バリアフリー」という魔法の言葉で負担をすることを賛成しやすい。

広い意味でバリアフリー社会の言葉の意味を考えるなら、免許を返納した高齢者を含め移動制約者が自分の意思で外出したいときに外出がしやすい環境を作ることが不可欠である。

エレベーターやエスカレーターといった個々の施設の中での移動のしやすさを確保するのはもちろん必要であるが、地域内移動、地域間移動に資するはずの地方交通機関のあり方が十分に考え尽くされなければならない。

地方交通の将来像を考えるべき

かつては、個々の鉄道路線やバス路線の収支だけで存続の当否を判断する傾向があった。最近では、2007年の地域公共交通活性化・再生法に基づく軌道高速化事業や地域鉄道再生事業が各地で取り組まれるようになり、鉄道事業者の負担軽減や持続可能な地域公共交通のネットワーク構築・維持のための施策がとられるようにはなった。

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経営良好な鉄道会社が抱える不採算路線が被災したときの復旧工事について、それまでは補助の対象でなかったものを2018年からは補助の対象とするなど、地域の鉄道維持のための施策がとられるようになっている。

個々の施設のバリアフリー推進だけでなく、併せて広い意味でのバリアフリーに資する地域公共交通機関のあり方についてもさらに意識を深めてもらいたいと思う。

小島 好己 翠光法律事務所弁護士

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こじま よしき / Yoshiki Kojima

1971年生まれ。1994年早稲田大学法学部卒業。2000年東京弁護士会登録。幼少のころから現在まで鉄道と広島カープに熱狂する毎日を送る。現在、弁護士の本業の傍ら、一般社団法人交通環境整備ネットワーク監事のほか、弁護士、検事、裁判官等で構成する法曹レールファンクラブの企画担当車掌を務める。

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