鉄道バリアフリーで「料金徴収」受け入れられるか 利用者全体で「薄く広く負担」する意味とは?

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変更の理由について、国交省の発表によれば「(2021年5月に閣議決定された)第2次交通政策基本計画においてはこれらの目標を着実に実現する旨が記載されるとともに、 鉄道駅のバリアフリー化について、『鉄道駅のバリアフリー化の推進は、エレベーターやエスカレーター、ホームドア等の整備を通じ、高齢者や障害者だけでなく、すべての利用者が受益するとの観点から、都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築するとともに、地方部において既存の支援措置を重点化することにより、従来を大幅に上回るペースで全国の鉄道施設のバリアフリー化を加速する』との方向性が示された」とある。

身体的にバリアフリーを必要としている利用者だけでなく、必要としていない者もエレベーターなどの恩恵を受けているのでバリアフリー化に必要な費用の全部または一部を利用者皆から徴収するという考え方である。

新線によくある加算運賃

運賃への加算制度は、新線建設費用を確保するために用いられる加算運賃がよく知られている。現在設定されているものとして、古くは名古屋鉄道知多新線(富貴―内海間)から、新しいものでは相模鉄道相鉄新横浜線(西谷―羽沢横浜国大間)が挙げられる。

新線建設にあたっての加算運賃について、国交省のホームページでは、「加算運賃は、主として新規路線の開業等に伴い発生する多額の資本費コストを回収するために、加算区間において基本運賃に加算して設定されるものである。したがって、加算運賃は、資本費コストの回収が完了するまで、その設定を継続することができるものである」と説明されている。加算額は区間によって異なるが、数十円から200円くらいが通常運賃に加算される。

新線区間の利用者からすれば、他の同じ会社の路線に比べて運賃が高額になり不満を感じるところではあろう。高額な運賃に納得がいかない場合には、一応当該の新線を利用しないという選択肢は残されている。当該新線を利用する以上は新線により得られる利便性の対価を支払うという考え方には一定の合理性がある。

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