「呪術廻戦」に描かれた"呪い"のルーツを紐解く のろい?まじない?呪いとSNSに共通する特徴

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令和の時代に、なぜ呪いをテーマにした物語に人々は熱中するのでしょうか(画像:映画「劇場版 呪術廻戦 0」公式サイト)
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今、呪いが再注目されています。2018年3月から『週刊少年ジャンプ』で連載がはじまった『呪術廻戦』は、呪術師たちが呪いが具現化した呪霊と戦う物語です。2021年11月には累計発行部数が6000万部を突破し、12月24日には、『劇場版 呪術廻戦 0』が公開されます。科学技術が発達した現代において、なぜ呪いをテーマにした物語に人々は熱中するのでしょうか。令和の時代に呪術が流行する理由について、作家・加門七海氏が監修した『呪術の日本史』から一部抜粋、再構成し、お届けします。

現代に生まれた新たな呪い

新型コロナウイルスの流行によって、リモートでの会議や飲み会など直接他者と会う機会が激減し、反対にインターネットを中心とした非接触型のコミョニケーションが一気に一般化しました。このような非接触型のコミュニケーションが流行した時代が過去にもありました。平安時代です。

『呪術廻戦』では平安時代のことを「呪術全盛の時代」「呪術全盛 平安の世」と紹介しています。平安時代は、ひらがなが普及し、女性も日常的に文字を記すようになりました。清少納言や紫式部などの女流作家が活躍した時代です。

この時代の男女のコミュニケーションツールは、手紙と和歌でした。この手紙と和歌に似たようなツールがLINEなどのコミュニケーションアプリです。このようなアプリと手紙や和歌は比べればアナログに思われるかもしれませんが、片方が自分の意図を短い文章で伝え、相手の返事を待つ、という基本構造は基本的に同じです。

対面でのコミュニケーションでは、相手の表情や口調などで相手の意図を推測できることができます。しかし、手紙やLINEなどは対面と比べて極めて制限された情報の中で相手の意図を読み取らなくてはいけません。そのため、時として誤解を生み、相手への負の感情を生み出します。

『呪術廻戦』では、呪いは「負の感情」から生まれるとされますが、平安時代も現代もまさに「負の感情」が生まれやすい環境といえるでしょう。

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