「PERで株価を割安」と判断する人に伝えたい盲点 1株純利益の変化も「ものさし」としては重要

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■BPSとPBR

BPS(Book-value Per Share=1株純資産)は会社が持つ純資産を発行済株式で割ったもので、純資産が1株あたり何円かを示した指標です。株価をこのBPSで割ったものがPBR(Price Book-value Ratio=株価純資産倍率)で、株価が純資産の何倍まで買われているか示した指標です。BPSは、決算書1ページ目の(2)財政状態欄に純資産などといっしょに掲載されています。また同じ欄から自己資本比率も確認できます。

■EPSとPER

EPSは純利益が1株あたり何円かを示した指標です。そして、株価をEPSで割ったものが、株価がEPSの何倍まで買われているかというPERになります。EPSは本決算であれば、決算書1ページ目の(1)経営成績欄に実績値が掲載されています。

■ROAとROE

ROA(Return On Assets=総資産利益率)とROE(Return On Equity=株主資本利益率)は貸借対照表(BS)から見た利益を見る指標で、ROAは総資産から生み出される利益の割合、ROEは自己資本(≒純資産)から生み出される利益の割合を表します。ROAからは資産効率、ROEからは資本効率を見ることができます。

さっそくですが、PERをビジュアル化してみましょう。はっしゃんの「投資学習Web」では、PERやPBRなどの人気指標をまとめて見える化する「株価診断チャート」というツールを公開しています。

このツールに、①現在の株価、②BPS、③自己資本比率、④EPSの4項目を入力すると、その銘柄のPBR、PER、ROA、ROEをビジュアル化してチャート表示できます。

日本株の平均ROEを大きく上回るソニー

以下の図はソニー(6758)の株価診断チャートです。

(画像提供:KADOKAWA)

(※外部配信先では図をすべて閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

2021年3月期の決算短信に掲載されたソニーのBPSは4499.45円、自己(株主)資本比率は21.2%、EPSは952.29円で期末の2021年3月31日の株価の終値は1万1595円でした。

ソニー株のPERはチャート中央に表示され、12.2倍になっています。長いほうの棒グラフが株価で、短いほうがEPSですが、株価はEPS12.2個分の高さになります。日本株全体の平均PERは約15倍ですから、PER12倍のソニーは平均以下と言えます。

同じくROEは右端に表示されて21.2%となっています。ROEは、純資産に対する利益の割合で資本効率を表しますが、日本株の平均ROEは10%程度なので、ソニーのROEが優秀なことがわかります。

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