「PERで株価を割安」と判断する人に伝えたい盲点 1株純利益の変化も「ものさし」としては重要
重要なのは、PERがどうして今の評価になっているのか、その理由を理解することです。
例えば、株価が一定の場合、PER60倍のキーエンスのEPSが翌年、2倍になればPERは30倍になり、その翌年も2倍になればPER15倍まで低下します。PER15倍というのは、日本株の平均的なPER水準になりますが、キーエンスは「(何年後かに)EPSが4倍になったものさし」で株価が計算されているわけです。
PERの高い株には、「この企業には成長力があってEPSが増えるので、PERが高くなっても買いたい」という期待感があります。その期待を表しているのがPERという指標ですから、「PERが低いほど割安でお買い得」という固定観念ではなく、「PERはEPSの成長期待を示したもの」と考えることが大切です。
一般の個人投資家にはEPSの期待値変化が見えにくい
ソニーのPERは約12倍ですが、将来のEPSが2倍になるとPERは半分の6倍まで低下します。そうすると、株価も2倍まで上昇してもおかしくありません。売り上げが2倍になれば利益は2倍になり株価も2倍になるように、利益をEPSと置き換えても同じで、「売り上げが2倍になればEPSは2倍になり株価も2倍になる」のです。
PERの計算式の分母であるEPSの期待値が変化し、これからEPSが増加するだろうという期待感が生まれれば、買いたい投資家が増え、それが織り込まれることで、株価は上昇します。
短期的には、新商品が発売されたり、映画や音楽がヒットしたりと、業績の期待値に影響を与えるイベントは頻繁にあります。
中長期では、今期の会社予想がベースになりますが、期待値の高い成長株であるほど、2年先3年先の業績まで先回りして期待されることになります。
このように株価が変動する要因は、PERで言うと、EPSの期待値変化ですが、それが(決算発表直後を除いて)一般の個人投資家に見えにくいため、PERという指標はわかりにくく、難しいわけです。
●PER=株価÷EPS
(一般的に決算書の今期予想EPSが固定で用いられる)
●PER=株価÷期待EPS
(期待EPSの基準は投資家によっても違う)
一般的なPERは、決算書の今期予想EPSが固定的に用いられて算出されます、投資家が見ているのは、将来の期待EPSであって、その期待EPSから見て、現在の株価は割安か割高かと考えているわけです。
それを、現在のEPSとPERで30倍や60倍だから割高と言っても、あまり意味がないことがわかりますね。ここで重要なのは、将来の期待EPSの根拠や実現性。「株価がPER何倍という市場評価になっている理由は何か」を解き明かすと、投資のヒントが見つかるかもしれません。
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