さらばS660、日本独自の軽スポーツカー文化に幕 ホンダ伝統のSシリーズ終幕、今後の復活は?

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ホンダの原点となるS500(写真:本田技研工業)

S660の開発がはじまったのは、「本田技術研究所」の設立50周年を記念した商品企画提案がきっかけだったという。同研究所は、1960年に設立されたホンダの研究・開発機関だ。今でも語り継がれるホンダの名車を数多く世に出してきた。S660は、そんなホンダ製4輪車の中でも、源流といえる「S」シリーズの末裔だ。

Sシリーズとは、ホンダがはじめて製作した4輪乗用車の総称だ。もともと2輪メーカーだった同社が、4輪車へ進出することをアナウンスしたのは1962年。その際に軽自動車の「S360」とコンパクトサイズの「S500」というオープンスポーツカーを発表した。S360は試作のみで販売はされなかったが、S500は1963年に発売。いわば、ビートやS660の元祖といえるモデルだ。スタイリッシュなフルオープンボディを採用し、排気量531ccの4気筒エンジンを搭載。軽量なボディと高性能な走りが当時の市場で大きな反響を呼んだ。

その後、同モデルは、排気量を上げていき、1964年に「S600」、1966年には「S800」が登場、1970年まで生産された。短い年数での販売だったこともあり、今でもこれらモデルは昔からのスポーツカー愛好家やホンダ・ファンなどに高い人気を受けており、ビンテージカーとして大切に保管するオーナーも多い。

S2000に次ぐ、第3世代のSシリーズがS660

1999年にデビューし、2009年まで生産されたS2000(写真:本田技研工業)

久々に「S」の称号を与えられて登場したのが、1999年に発売された同じくオープンスポーツの「S2000」だ。2.0Lの直列4気筒エンジンを搭載し、独自の可変バルブタイミング・リフト機構「VTEC」を採用。S800と同様のFR(フロントエンジン後輪駆動)車で、高回転まで一気に吹け上がるパワー特性や、アルミ製ボンネットなどによる軽量な車体が生む優れたハンドリングなどが魅力だった。2005年のマイナーチェンジでエンジンの排気量を2.2Lにアップし、2009年まで生産されたが、こちらもいまだにファンが多いモデルだ。

つまり、S660は、ホンダ4輪車の元祖であるオープンスポーツカー「S」シリーズの血統を受け継ぐ第3世代モデルだといえる。今回S660が生産終了になるということは、ホンダ伝統のシリーズに一旦幕が下ろされることも意味する。

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