さらばS660、日本独自の軽スポーツカー文化に幕 ホンダ伝統のSシリーズ終幕、今後の復活は?

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S660のインテリア(写真:本田技研工業)

ラインナップには、6速MT車とパドルシフト付きCVT車を設定する。とくにMT仕様は、CVTやATなどのオートマチック車が全盛の今となっては、設定する車種自体が珍しい。だが、S660の場合は、MT仕様を選ぶユーザーが約60%とむしろCVT仕様より多い。アクセル・ブレーキ・クラッチの3ペダルと、マニュアルシフトによりクルマを自在に操る感覚を味わいたい、生粋のスポーツカー好きに大きな支持を得ている証しだ。

S660モデューロXの特別仕様車バージョンZ(写真:本田技研工業)

設定グレードには、スタンダード仕様が内装に本革×ラックススェードをあしらった「α」と、メッシュ×ファブリック内装を施した「β」を設定する。ほかにも内外装にレーシーかつ高級感ある専用パーツを施したカスタマイズ仕様の「モデューロX」、2021年3月にはモデル最後の特別仕様車「モデューロX バージョンZ」も発売。価格(税込)は203万1700円~315万400円だ。

なお、前述した追加販売を実施するのは、これらのうちスタンダード仕様のα(232万1000円)とβ(203万1700円)の2グレードで、いずれも6速MTとCVTが選択できる。また、追加650台の内訳は、一部ディーラーで600台を取り扱い、商談途中に一旦完売となり購入できなかったユーザーを優先で受付する。残り50台(α=40台、β=10台)は、公式ウェブサイト「S660商談権申込キャンペーン」からの申し込みによる抽選販売となる。ウェブ抽選の申し込み期間は11月12日(金)から12月5日(日)、抽選会の様子は12月15日(水)にウェブサイトでライブ配信される予定だ(当選発表は12月16日HPにて掲載予定)。

Sシリーズの血統を受け継ぐ歴史

S660が登場したのは2015年。ホンダが軽スポーツカーを市場投入するのは、1990年代に人気を博した「ビート」以来、約25年ぶりとなる。

1991年に発売されたビート(写真:本田技研工業)

ビートは、MRレイアウトを採用した初の軽自動車で、2シーターのフルオープンボディが魅力のモデルだ。その軽快かつスポーティな走り、オープンカー特有の爽快感などは、生産終了から約25年経った今でも多くのファンに愛され続け、長年乗り継いでいる愛好家も多い。2017年からは、ホンダが一部純正部品の再生産を開始し、オーナー向けに販売するほどの根強い人気を誇っている。

まさにビートの再来として登場したのがS660だ。ビート同様にMRレイアウントを採用し、ビートがフルオープン仕様なのに対してS660はタルガトップ仕様だが、スポーツカー好きが憧れる多くのパッケージを採用する点で、両車には共通点が多い。

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