ダイハツ、地域密着で「ココア」を売る狙い 北海道は「雪ミク」がモチーフ、東海は?

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6月に発売したコペンのコンセプトは「LOVE LOCAL」(撮影:今井康一)

実は、ダイハツの「地域密着」の取り組みはココア以前にすでに始まっている。先行例は、今年6月に全面刷新して復活した軽自動車のスポーツカーの「コペン」だ。

骨格だけで従来の安全性を担保できる構造を採用し、樹脂の外板パーツをスマートフォンケースのように着せ替えできるようにした。外板は自社の開発・製造にこだわらず、全国各地のデザイナーやクリエイターを広く募って充実させていくという。

こうした取り組みのハブとなるのが、全国70カ所に設けた販売拠点「コペンサイト」だ。ダイハツの販売店内にショップ・イン・ショップ形式で出店しており、地域特性を踏まえた独自のアフターパーツを販売するほか、ツーリングなどのイベントも主催する。テレビCMをいっさい行わず、各地のコペンサイトに販促の重点を置いている。

全方位の販売戦略に”限界”

なぜ、ダイハツはこれまでとは異なる開発・販売戦略に舵を切ったのか。コペンのチーフエンジニアを務めた藤下修氏は、その狙いを農産物にたとえる。「大きな流通に乗せて量販店で売られている農産物は規格や価格が決められている。一方、各地域の道の駅などで独自にブランドをつけて売られている。後者は顧客のフィードバックを直接受けられるから、それぞれの地域にあった形に改良できる売り方だ。車でもそれができないかと」。

燃費のよさや車内空間の広さなど、軽自動車の基本性能をめぐる他社との差別化は、ますます厳しくなっている。そうした中、ライバルのスズキが今年1月に発売した軽SUV「ハスラー」はアウトドアという趣味性を強く打ち出したことで爆発的にヒットした。「360度全方位という販売戦略だけでは、今後やっていけなくなるだろう」(藤下氏)。社内で議論を重ねた結果、各地域、各販売店で独自性を打ち出しやすい製品・販売戦略という、新たな策を編み出した。

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