羽田圭介「人間関係断つ"安易リセット"は不可能」 不要なものを捨てても人の「記憶」は消せない

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――わかりやすいものが好まれている中で、羽田さんはどんな作品づくりを心がけていますか。

特に意識しているわけではないんですが、今回発刊した『滅私』と『Phantom』は、図らずもわかりやすく書いていたことに後から気づきました。4年ほど前に書いた『成功者K』は、自分でも2、3回読み直してみないとわからないぐらい、カオスにも感じられるある種の難解さがあったので。

『滅私』と『Phantom』については、結果的に自己啓発書のように読みやすい作品になっていましたね(笑)。小説が苦手で普段読まないという人も、読んだ後に「こういうメッセージなのかもな」って腑に落ちやすい内容になっていると思います。

『滅私』と『Phantom』は読みやすいため、小説が苦手で普段読まない人にもオススメだという(撮影:尾形文繁)

漠然とした不安にどう立ち向かうか

――先が見えなくて将来に漠然とした不安を抱えている20~30代の若い世代も多いです。そうした世代に今、伝えたいこととは?

不安に対してどう対処したらいいのか、ひどく具体的に考えることが大切だと思います。就職できるか不安なら、採用試験に受かるために必要な学歴やスキルは何なのかを調べて身につけることが先決ですし。この先、日本で暮らしていくことに不安があるなら、海外に移住できるだけの語学力やお金の知識を身につければいいと思います。

『滅私』(新潮社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

不安をそのままにしておくから、余計に何をしていいかわからなくなる。不安の中身を詳細に突き止めて、それをクリアするためのベストな対策を打っていけばいいだけの話だと思います。

また、何のスキルもなしに就職しなかったり会社を辞めたりして、MacBookを片手に「稼げる情報商材」を売り出すとか。とりあえずSNSのフォロワーを増やしてインフルエンサーになろうとするとか。

そういう人たちは、例えば調理の技術を一から学んで、売りになるメニューを開発して、まずはキッチンカーで売り始めるとか、自分なりに試行錯誤しながら地道に積み上げていくことはしたがりません。

『滅私』と『Phantom』の中には、微妙に間違った言葉遣いや考え方を、自分なりに噛み砕きもせずコピーし、振る舞っている人たちが沢山出てきます。要は、極端なことを主張して稼いだり出世したりしている人たちの言うことを、鵜呑みにしないことですね。自分で考えるしかありませんよ。自分の身を振り返ってみてもそう思います。

(前編:『羽田圭介、貯金した末の将来に期待するのは賢明?」』)

伯耆原 良子 ライター、コラムニスト

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ほうきばら りょうこ / Ryoko Hokibara

早稲田大学第一文学部卒業。人材ビジネス業界で企画営業を経験した後、日経ホーム出版社(現・日経BP社)に。就職・キャリア系情報誌の編集記者として雑誌作りに携わり、2001年に独立。企業のトップやビジネスパーソン、芸能人、アスリートなど2000人以上の「仕事観・人生哲学」をインタビュー。働く人の悩みに寄り添いたいと産業カウンセラーやコーチングの資格も取得。両親の介護を終えた2019年より、東京・熱海で二拠点生活を開始。Twitterアカウントは@ryoko_monokaki

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