だから、イケアは人に投資する 日本法人新CEOが語る、パート正社員化の理由

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リストCEOは人事制度における3つの理念を強調する

――グローバルのイケアでも平等な雇用形態を推奨している?

前イケアCEOのミケル・オルソンもパートタイマー出身だった。本国のスウェーデンにとどまらず、パートタイマーから昇格していくのは、イケアでは珍しいことではない。

細かい人事制度は国ごとに異なるが、EQUALITY(平等な機会創出)、SECURITY(長期的な関係構築の保障)、INCLUSION(多様な人材の受容と活用)の理念は共通だ。私は日本に来てまだ18カ月だが、その前にはオーストラリアで人事を管掌した経験がある。人の成長がビジネスの成長にもつながることを誰よりも熟知している。

欠員補充の採用こそコストだ

――短期的には人件費の負担が増すが、どう考えているか。

あくまでも長期的な投資という視点で見ているので、前年の人件費に対して何%上がるという観点は持っていない。むしろ従業員が辞めて新たに採用を行うことを、大きなコストと捉えている。今回の人事制度への投資で、従業員がイケアで長期的に安定して働きたいとなれば、プラスのリターンとして返ってくる。

――イケア・ジャパンの事業規模を倍にすると宣言している。規模拡大にも従業員の雇用維持が必要なのでは?

2020年までに現在の8店から14店舗体制へ、売上高で1500億円まで拡大したい。長久手市(愛知)、前橋市(群馬)、広島市はすでに土地を取得し、15年以降の出店が確定している。それ以外にも北海道などの未出店地域に店舗を構えたい。

私たちはもっと身近に簡単に店舗を訪れていただける環境をつくる必要がある。そして、ビジネスの成長は人の成長なしには成しえない。長期的にどこにビジネスを持っていきたいか、人が必要になってくるか。そういう考えをイケアはつねに持っている。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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