だから、イケアは人に投資する 日本法人新CEOが語る、パート正社員化の理由

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具体的には、安心してイケアとともに頑張っていけるように、同一賃金や福利厚生などの平等性を全従業員に与えていく。そして、多様な人材や考え方を強みとして、より一人ひとりの能力を発揮させていく。たとえば、育児を始めたり、家族の介護が必要になったり、人間の一生にはライフステージの変化がある。この制度を導入することで、個人の働き方をより選びやすくする。

私たちは2006年に日本に進出したときから、こうした制度を当たり前に始めるべきという考えがあった。しかし、進出直後のイケアがまったく新しい制度を始めるというのは一般的に難しい。日本の労働環境はどうなっているのか、イケアの従業員にどういうサービスを提供するべきなのか、時間をかけて徐々に学び、計画を立ててきた。日本全体の正社員化の流れも重なり、今になって実行できる段階に来た。

パート出身でもCEOを狙える

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今シーズンはベッドの販売を強化する

――何人のパート従業員が正社員になる?

理解してもらいたいのは、日本ではパートタイムとフルタイムという区分をしがちだが、イケア・ジャパンではその考えをなくしていきたいということ。とはいえ、そういうカテゴライズをするのであれば、現在約3400人の従業員のうち、約7割がパートタイム、約3割がフルタイムだ。

パートタイム従業員はこれまで6カ月ごとに雇用契約の更新を行っていたが、今後は無期限の契約になる。同一賃金体系の下で勤務時間を選び、福利厚生も労働時間にかかわらず全従業員に付与される。一人ひとりのヒアリングを基に契約の書き換えを行い、9月から順次、全従業員を正社員としていく。

――正社員化によって具体的にどのような効果を見込んでいるのか。

たとえば、現在週20時間勤務の従業員が週38時間勤務に変えよう、となるかもしれない。38時間勤務になったら今度はマネージャーのポジションにチャレンジしようという気持ちが生まれる。CEOのポジションも狙うことができる。共に頑張ろうという意思やパートナーシップも生まれるかもしれない。ポジティブな動きをこの制度から創っていきたい。

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