「きらら」「ひえい」京都の秋を彩る叡山電車の復活 観光列車が大人気、目が離せない電車の近況

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「えいでん」こと叡山電鉄は京都市街から八瀬や鞍馬へと走る紅葉を眺望する「きらら」は第1編成が新緑の色をまとい「青もみじきらら」となった (市原ー二ノ瀬間、写真:田中秀樹)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2022年1月号「『きらら』と『ひえい』の叡山電車」を再構成した記事を掲載します。
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大阪淀屋橋からの京阪電車で終点出町柳に降り立ち、地下駅最先端の出口を上がると叡山電鉄、「叡山電車」の小さな始発駅に出る。これより下流は鴨川となる賀茂川と高野川の合流点にある。

「えいでん」と呼ばれる叡山電車は、東京で言えば東京メトロ銀座線サイズの長さ15m×幅2.6mの小型電車が1両または2両編成で運転され、京都市街北部の出町柳から比叡山西麓の八瀬比叡山口まで5.6kmと、宝ヶ池で分岐して鞍馬まで8.8km(出町柳から12.6km)を結ぶ。2021年9月18日のダイヤ変更から、朝晩を除いて八瀬方面、鞍馬方面とも15分間隔で運転されている。以前は鞍馬直通と八瀬方面それぞれ20分間隔の中に、鞍馬線二軒茶屋までの区間運転を挟んでいた。9月25日に実施した京阪の15分サイクル新ダイヤに合わせたわけである。

2019年に「青もみじきらら」が登場

距離が長い鞍馬行きは基本的に2両編成で、7編成中の2本が900系展望電車「きらら」である。運転時刻は固定されており、ホームページで公表されている。

京都と言えば紅葉であり、1997年に登場した1編成目は朱赤、翌年の2編成目は少し明るいオレンジの塗色だったが、鞍馬線開通90周年の節となった2019年に第1編成は「青もみじきらら」として、黄緑色になった。当初は周年記念で期間限定のはずだったが、光を透かす新緑のイメージが好評を呼び、期限未定でその色を維持している。「秋だけでなく、初夏も美しいですよ」というメッセージの発信でもある。

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ガラス張りと言ってよい側窓に向けて配置した座席には地元の人々がエコバッグを抱いて座っており、生活の香も漂っている。京都市街から周辺住宅地、宝ヶ池から鞍馬線に入って次第に洛北の山が近づく郊外の街、さらに複線から単線になる二軒茶屋付近から家々は途切れないものの風景は谷になる。

アップダウンの勾配はきつく、33‰、40‰、それに50‰も現れる。途中から学校帰りの中学生も乗り込んでいたが、市原でほぼ全員が降りてしまうと、それからは深山となった。

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