「きらら」「ひえい」京都の秋を彩る叡山電車の復活 観光列車が大人気、目が離せない電車の近況

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この市原―二ノ瀬間が叡山電車で最も有名な「もみじのトンネル」で、時期には超満員の観光客を乗せて列車が通り抜ける。夜間は幽玄なライトアップが施される。

静謐な中で上下電車が行き違う二ノ瀬の次が貴船口。貴船神社や川床の料亭が人気を集める観光の玄関駅だ。そして引き続き山中を縫うと、天狗の面が駅内外に飾られている鞍馬に着く。駅から鞍馬寺へは約700mである。

だが、最近まで1年2カ月、貴船や鞍馬に電車は来なかった。2020年7月の豪雨により貴船口駅手前で大規模な土砂崩れが発生し、2021年9月18日に再開するまで市原―鞍馬間を運休していたのだ。

鞍馬へは鞍馬川の谷を遡る。貴船口駅前後には2020年の豪雨災害と2018年の台風の爪痕が残る (貴船口ー鞍馬間、写真:田中秀樹)

進行左側の斜面から崩れ落ちた約1500平方mの土砂と、約330トンという倒木が線路を埋めた。復旧に際しては、早期開通を目指す叡山電鉄が自力で線路上の堆積物を撤去のうえ、崩壊斜面の修復は林野庁が補助する治山工事として京都府が実施、破壊された線路(軌道や架線・信号設備等)は国土交通省の鉄道災害復旧補助を投入して叡山電鉄との区分で行われた。今、現地を走ると新しいPC枕木とバラスト、架線柱が立ち並ぶ線路に迫る斜面の全面が、コンクリート型枠工で覆われている。治山工事は2022年1月まで続く。

ところが、貴船口駅を出た付近でも尋常ではない姿の山が現れる。そちらは2018年の台風で無数の木々が倒れたそうで、その際も貴船口―鞍馬間が50日ほど運休となった。被災は山中一帯に広がっており、障害となる倒木の除去に続けて、激甚化する自然災害に対して今後のことも考え、現在も要注意箇所の伐採が続けられている。

観光と学生で賑わう路線もかつては存亡の淵に

叡山電鉄は、かつて京都市電の廃止により都心部への足を失い路線が孤立し、廃止が取り沙汰されるほど利用が減った。沿線から市街中心部に直結するバスに流れが移ったのだ。

だが、1989年の京阪鴨東線開業により京都中心部は言うに及ばす、大阪方面からの足付けがなされた。それにより洛北観光が手軽になり、また1か所が大規模開発される姿ではないが宅地化も進んでいった。

加えて沿線には京都精華大学と京都産業大学があり、鴨東線開業翌年に精華大の真横に京都精華大前駅を新設、通学可能範囲が大きく広がったこととの相乗効果で、電車は大学生らの若々しい活気を帯びている。地下鉄烏丸線が修学院駅や八幡前駅から1kmもない付近に延伸開業したのは響いたが、コロナ禍前まで基本的には上り調子だった。

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