若き成功者の証「黒いロールス」新型投入の意味 4349万円~ブラック・バッジ・ゴーストの狙い

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ロールス・ロイスといえば、運転は運転手に任せてオーナーは後席に乗る“ショーファードリブン”が主流だが、今回のブラック・バッジ・モデルのベースとなるゴーストは、ロールス・ロイス・ブランドが持つリラックスできる乗り⼼地や徹底した⾳響環境を損なうことなく、走りにもこだわったモデルだ。

内装の色や素材ももちろん、ビスポークにより自由に選べる(筆者撮影)

ボディには、ファントムで登場したロールス・ロイス独⾃の「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」、オールアルミ製スペースフレーム構造を採用。4輪駆動システムや4輪操舵システム、カメラで路面を読み取り乗り心地の最適化を図る「プラナー・サスペンション・システム」を搭載する。

ブラック・バッジに搭載するにあたっては、エンジニアリングクオリティが全⾯的に⾒直され、より容量の⼤きいエアサスペンションを組み合わせることで、激しいコーナリングの際にも、ボディのロール(傾き)を抑えることに成功したという。

エンジンは、6.75リッターV12ツインターボを搭載。新たに29PSが上乗せされ、最⾼出⼒は600PSに。加えてトルクも50Nm増となる900Nmとすることで、途切れることのないシングルギアのような⾛⾏感覚が強調されているという。そのほか、トランスミッションやスロットル特性、ブレーキの作動ポイントなどのチューニングも実施されている。

6.75リッターのV12ツインターボエンジン(筆者撮影)

新生富裕層の新たな価値観のために

新型ゴースト発表時と同様に、今回のブラック・バッジ・ゴーストにおいても、ポスト・オピュレンスを強調したロールス・ロイス。その主なターゲット層は、グローバルに仕事を展開する若い起業家など、人生の早い段階から挑戦し続け、成功を勝ち取ってきた新たな富裕層である。

新生富裕層とも呼べるこうした成功者たちは、ショーファードリブンの後部座席に乗ってゆったりと移動を楽しむというより、自身でハンドルを握り自由に移動できるラグジュアリーさを好む。

時代とともに“ラグジュアリーの定義”も変わっていく中で、こうした潮流の変化をいち早く察知し、ブラック・バッジ・シリーズを送り出したロールス・ロイス。トレンドを先取りするようにラインナップを拡充していく戦略が採れるのは、トップ・オブ・ラグジュアリーのロールス・ロイスならではだろう。

新型ブラック・バッジ・ゴーストの納⾞は2022年の第1四半期から始まる予定となっている。若き成功者たちは、この「黒いゴースト」に乗れる日を心待ちにしているに違いない。

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先川 知香 モータージャーナリスト

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さきかわ ちか / Chika Sakikawa

初めて見たバイクレースでマシンをバンクさせながら膝を擦って進入していくコーナリングを自分もやってみたいと思ったのをきっかけに、マシンを操ることの面白さを知り、その面白さを多くの人に伝えるべくモータージャーナリストを志す。現在の対象は2輪から4輪までと幅広く、Web や紙媒体で執筆中。愛車は Kawasaki Z250 とGASGAS、TOYOTA86 MT 仕様。休日は愛車でのサーキット走行やトライアルにも挑戦中で、公私共に乗り物漬けの日々を送る。

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