エヴァの次は999「シンカリオン」コラボへの執念 制作者たちが語る「絶対聞けないウラ話」が満載

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実際、放送を見るとさすがのゲンドウもいつも通りとはいかなかったようで、時折ニヤリとするなど、表情が豊かなように感じた。

「でも、ゲンドウは多少ブレさせてもビクともしないキャラクターなんです」

神村氏と鈴木氏が声をそろえる。

「(ゲンドウの声を演じる)立木文彦さんの声が入れば、キャラクターが少々突飛なことをしてもゲンドウになります」

聞けば、碇ゲンドウはさまざまなコラボ事案にコメディリリーフとして登場することが多いそうだ。「カミソリのCMではヒゲを剃ったりもしていましたよね」と笑う鈴木氏に、「そう!でも立木さんの声には力があるからヒゲを剃ってニッカリ笑ってもゲンドウのキャラは崩れないんです」と神村氏も笑って返す。

「ただ、ひとつだけシナリオを読んで修正してもらった箇所がありました」と神村氏が教えてくれた。

「ゲンドウが京都大学に在籍していたという設定と京都にいることを関連づけたシーンがあったのですが、それは少し掘り下げすぎかな、と」

エヴァファンが慣れ親しんだ有名なフレーズを出すのは、皆で楽しさを共有できる。しかしレアなネタを入れると観る人を選んでしまう。せっかく子どもたちが観ているシンカリオンに登場するのだから、わかりやすい楽しさにしたかったという。

初号機がビーストモードに

そのお陰かゲンドウの「でなければ大宮に帰れ」や、レイとアスカによる「あやなみ線……」「あんた、バカ?」というやり取り、ロンギヌスの槍と分岐器を由来とした「ブンキヌスの槍」など、作中に登場したキーワードが、放送当日のSNSを賑わせていた。

エヴァ初号機のビーストモード(©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所Z・TX ©カラー)

驚いたのは、エヴァンゲリオン初号機が見たことのない姿をしていたことだ。シンカリオンの世界の中で鬼エヴァに変身したとはいえ、姿形が変わってしまっているというのは自由すぎやしないのだろうか。

しかも初号機のビーストモードだという。エヴァンゲリオン初号機のビーストモード初登場が他アニメであるというのは許されることなのか。

疑問を投げかけてみると、ごく普通に許可をいただけたという。となると気になるのは、どのような過程を経てエヴァ初号機のビーストモードのデザインが決まったのか、である。

「顔やシルエットなどの初号機らしさを残してほしいというオーダーをいただいたので、その点を留意したデザインになっています」

エヴァンゲリオンのデザインを他アニメであるシンカリオンのチームがデザインする。メーテルと同様に懐の深い話である。

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