周りの期待に応えられる人と裏切る人の決定的差 その目的が「他人から見て見届けたい」かどうかだ

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これまでの時代は、目的が大きいことが重要であったと言えるかもしれません。もちろん現代でも、大きなチャレンジをしている人に注目が集まるのは変わりません。しかし、結果の大きさに対する期待より、その人がなぜそれをやり遂げたいのかという切実な理由、そこに込められた動機(Why)が重要になってきているのです。

それでは最後に、動機(Why)が大切というところを、CQという切り口で説明していきたいと思います。

真のCQとも言える内的なCQ

今までCQと言ってきたのは、その人自身の外側にある具体的な目標に対して、成し遂げられるかどうかという話でした。今後は、これを外的CQという言い方をします。そして、その奥に内的CQというものがあるのです。

内的CQとは、心の奥底で思っている目的や課題を達成できるかどうか、あるいはその目的や課題など「向き合う対象」そのものを指します。

例えば、外的CQが「大会で優勝する」だとして、目的は同じでも、動機や成し遂げたい理由は人それぞれで違うでしょう。人によっては「父親に認められたい」であったり、またある人は「彼女を振り向かせたい」など違うものだったりするかもしれません。内的CQとは、このように表面上の外的な目的の奥にある真のCQと言えるものです。

外的CQの説明で、相手に期待されたり応援されたりするためには「切実さ」が重要だと書きました。それは、その人自身の心の奥底から生み出されたような魂の叫びが必要ということですが、これこそまさに内的CQです。つまり内的CQに切実さがあることで、外的CQが強くなるのです。

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しかし、内的CQを見つける作業は簡単ではありません。「自分が本当にやりたいことは何か?」と聞かれてもなかなか自信を持って答えられる人はいないでしょう。相当にその人が自身と向き合い、その人自身を深く知らなければなりません。時にはその人自身のトラウマなどと向き合う必要も出てくるはずです。

必ずしもその人が自身の心の傷をほじくり回す必要はありませんが、人は挫折することでその人自身の本当の思いに気づくものです。そんな経験を思い出してその人自身の内面を探り、本当に望んでいることを見つけられると、他人も共感してくれる切実なCQが見つけられるかもしれません。

周りの心を動かす内的CQがあれば、それをベースに期待や共感を生む外的CQにつながります。それは望む目標やゴールにたどり着くための重要な一歩となるのです。

たちばな やすひと プロデューサー

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Yasuhito Tachibana

1975年愛知県生まれ。東京大学理学部卒。有線ブロードネットワークス(現、USEN)、TBSグループの制作プロダクションであるドリマックス・テレビジョン(TBSスパークルに吸収合併)を経て2018年独立。プロデュースしたドラマは、『全裸監督』(Netflix)、『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』(テレビ東京)、『マリオ~AIのゆくえ~』(NHK BS)など。

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