団塊ジュニアを待つ「ひどい未来」に生き残る条件 10年後、定年を迎え始める世代に不可欠な心構え

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私たちの多くは、いかにそれが非効率であったとしても、現状を必死で守ろうとする「新しい秩序に抵抗する勢力」になってはいまいか。しかしそれでは、個人レベルでの収入は増えるどころか、徐々に減っていくのである。競争環境において、生産性を向上させるためではなく、現状を維持することに努力を費やしているのだから、当然だ。事実、失われた30年を通して、日本人の年収は減り続けてきた。

団塊ジュニア世代の定年後は、そうした抵抗の結末として出現する。長年必死で守ってきたビジネスモデルから追い出されれば、頼りになるのは年金だけだ。しかし日本の年金は、現役世代が高齢世代に仕送りをする方式(賦課方式)になっている。人口ボリュームの大きい団塊ジュニア世代が、年金の支え手から年金の受け手に回ると、それがどうなるか、容易に想像できる。

何度でも繰り返すが、特に団塊ジュニア世代は、これまでのあり方を見直す必要がある。具体的には生活レベルを落としつつ、副業などを通して収入を増やす必要がある。その上で、今の本業において変革を主導し、新しいビジネスモデルの構築に成功しない限り、貯蓄は増えない。しかし、そんなことが、個人レベルではともかく、マクロに可能だろうか。

成り行きで出現しようとする未来と戦う

拙著『リーダーシップ進化論』でも触れているが、いかなる物事も、成り行きで進んでしまう。そうして出現する未来が悲惨なものであっても、成り行きは維持されてしまう。リーダーとは、そうした成り⾏きで出現する未来と戦う存在であり、成り⾏きとは別の未来を実現しようとする人間だ。実際には、古い何かをやめて、新しい何かをはじめるのがリーダーである。

誰かに助けてもらえることを期待して倒れ込んでも、誰も助けてはくれない。みんな準備していないように見えても、準備していないのは自分だけだったりもする。特に団塊ジュニア世代は、今からでも、現状維持を離れて、なんらかの大胆な決断をしなければならないだろう。古い何かをやめて、新しい何かをはじめることだけが、悲惨を回避するための必要条件になる。

個人レベルでも、家族レベルでも、組織レベルでも、皆同じである。成り行きでは、多くのところで悲惨が見えている。これまでとは異なることにリソースを配分しなければ、悲惨な未来が現実になるだけだ。だから、個人レベルでも、家族レベルでも、組織レベルでも、求められているのはリーダーシップなのである。

歴史を紐解けば明らかな通り、こうした危機は、歴史上何度も繰り返されてきた。人類は、それをリーダーシップによって乗り越えようとしてきたが、成功事例は決して多くはない。ただ、足掻いた分だけ学びがあり、そうした学びが歴史として積み上がっている。教養を得るというよりは、生き残るノウハウを学ぶためにこそ、歴史に目を向けるべきだと思う。

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