いま公立でも中高一貫校が増えている本当の理由 日本の高校受験は世界的に見ても珍しい制度
報告書には「内進生」と「外進生」の進学実績を比較したグラフも掲載されている(図)。難関国立大学(東大・一橋大・東工大・京大・国公立大医学部)の進学割合では、内進生が7.6%であるのに対して外進生は0.8%と大きな差があった。同時に、日比谷や西など都立進学指導重点校7校の難関国立大学進学割合は8.1%であり、都立一貫校の内進生は、それとほぼ同等の進学実績を出しているといえる。
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茨城では名門高校が軒並み中高一貫校化
この報告内容を踏まえ、東京都は2023年度までにすべての都立中高一貫校を完全中高一貫校化することを決めた。
実際には、同じ都立中高一貫校であっても中学校からの入学と高校からの入学では入試の難易度に違いがあることも決して無視はできないが、東京都が中高一貫教育の効果を公に認めた意味は大きい。
茨城県はもっと極端だ。2020年度から2022年度にかけての3年間で、一気に10校の県立高校を中高一貫校化する。茨城県にはすでに3校の公立中高一貫校があり、合計で13校となれば、その数は東京都の10校(区立を含めれば11校)を上回る。
その中には水戸第一、土浦第一も含まれる。水戸第一は旧制一中(戦前のトップ校)の流れを汲む名門校。土浦第一は近年では東大合格者数で水戸第一のお株を奪う県内トップ進学校だ。東京都でいえば、日比谷と西が中高一貫校化するようなもの。そのほかの8校も各地域のトップ進学校であり、県内の教育熱心な家庭に与えるインパクトは甚大だ。
県の教育委員会によれば「すでに設置している中高一貫教育校3校では探究活動など6年間の計画的・継続的な特色ある取り組みを行っており、学業だけでなく課題解決能力の育成などにおいても優れた実績を出しています」とのこと。
東京都や茨城県の公立中高一貫校が、進学実績を向上させるだけでなく、多方面で個性的な学校文化を花咲かせるとしたら、この動きは他県でも続くかもしれない。
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