「昭和のスターの記念館」閉鎖が全国で相次ぐ理由 地域に愛されているかも存続のカギに
現在はネットで簡単に情報を知ることができるが、実際に足を運ぶからこそわかることも多いと久恒さんは続ける。
「『坂本九思い出記念館』は出身地でもない北海道夕張郡栗山町の福祉施設の中にあります。坂本さんが生前、札幌テレビ放送の『ふれあい広場サンデー九』に出演していたとき、記念館のある栗山町のバンドが福祉関係のコンサートに出演。
そこから交流が続き、事故で亡くなる2週間前にも番組収録でこの地を訪れるなど、地域の方と交流を深めていたことからつくられたという経緯があるんです」
最近になってなぜ閉館が続いているのか。残念ながら来年閉館してしまう『加山雄三ミュージアム』は地元紙の記事によると、
“ここ数年、体調不良などによりサイン会などのイベントに参加できない状況が続き、十分なファンサービスができなくて心苦しいという本人の思いに沿う形で閉館を決めた”
と、報じられている。
管理者の高齢化とコロナの爪痕
『星野仙一記念館』は今年で80歳を迎えた館長の健康面に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で4度の休館を余儀なくされたことが決め手になったという。
「もともと持病があり、コロナ禍で体調を崩したのがいちばんの理由です。緊急事態宣言で4度の休館により来場者がコロナ禍前の7割減に。健康面や資金面でも周りに迷惑をかける前に……と閉館を決意しました」(館長の延原敏朗さん)
展示されている1000点以上の思い出の品は、記念館のある倉敷市に寄贈される。
「まだ閉館前ということもあり、寄贈された品の展示場所や方法は現在検討中です」(倉敷市スポーツ振興課)
新型コロナの影響で再開の見通しが立たない場所も。
「『西村京太郎記念館』は今年1月の緊急事態宣言後に休業を発表。解除された現在も休業が延長されたままで、再開の見込みが立っていません。このまま閉館してしまうのでは……と心配の声が挙がっています」(前出・トラベルライター)