9月の株式相場は、波乱になるのか? 【今週の相場】アメリカの金利をどう見るか

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今では、こうした見方は、多くの人々が普通に使っている相場用語になっています。筆者は、氏がキダー・ピーポディー証券(同)に在籍していた時、共通の友人を通じて知り合い、その後、日本興業銀行など(同)に移った時は、本店の氏の部屋へ通い、教えを受けました。証券関係者には珍しく温厚な紳士で、訪ねても嫌な顔せず優しく接してくれました。懐かしく思い出されます。

さて、アメリカ株が業績相場に移ったと断言しましたが、「浦上業績相場」は、金利、企業業績、株価が同時に上向くのが条件です。

「十分に高い」アメリカ金利、増税の影響大きい日本

QE3(量的緩和第3弾)のテーパリング(金融資産の買い入れ額の漸減策)開始前、10年国債の利回りは3%になりましたが、今は2.34%程度です。とすると、金利は上昇方向に向いているとは言い難い状態で、「業績相場の条件になっていない」という意見もあります。

しかし、日本の0.5%、ドイツの0.9%、金融不安まであったイタリアの2.43%、スペインの2.23%という世界の金利水準の実情に比較すると、アメリカの2.34%は、完全にリンクしている世界の金融市場の中で、逆に異様に高いとも言えます。私は十分に業績相場の条件を満たしていると考えます。

業績相場は、好材料と株価が素直に連動する相場です。残念ながら日本経済の実情は、消費増税の第1段階(8%)の影響が完全に払しょくできないうちに、来年の第2段階(10%、2015年10月開始予定)に進むかどうかの決定をしなくてはならない重要なところに差し掛かっています。業績相場に移れる状態ではありません。

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