親の介護は「自宅」と「施設」のどちらにすべきか 「お金」や「時間」など、ここが選ぶ際の決め手だ

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もう1つ知っておきたいのが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。1回15分程度の訪問介護を1日に3〜4回受けられるほか、緊急時の連絡用にケアコールが貸与されます。具合が悪くなったときや、室内で転倒した際などにケアコールで呼び出すと、24時間対応で介護事業所につながり、看護師やヘルパー、ケアマネジャーが対応してくれます。医師の指示のもと、訪問看護を受けることもできます。

Bさんは要介護2の妻を介護していましたが、自身も要介護1になり、週2回はデイサービス、週5日は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用することにしました。週5日、1日3回、1回につき2人分、30分で食事の世話に来てもらいます。費用は2人で月額約4万円です。

費用が抑えられる「特養」や「老健」での介護

要介護度が重くなると居宅介護の負担が重くなることから、施設介護を選択するケースが多くなります。高齢者向けの施設にはさまざまな種類がありますから、施設の種類やそれぞれの特徴、費用、近隣にあるかどうかなど、情報を集めておきたいところです。要介護度によって、利用できる施設の選択肢が異なることも知っておきましょう。

介護保険施設として代表的なのは、「特別養護老人ホーム(特養)」と「老人保健施設(老健)」です。

特養は、つねに介護が必要で、自宅では介護ができない人を対象としており、申し込みができるのは、原則として要介護3以上の人です。東京都区部にある施設の例では、要介護5の人がユニット型個室を1カ月利用した場合の費用は、食費や日常生活費(約1万円)を含めて約14万円です。

費用が抑えられていることなどもあり、地域によっては入居待ちの状態となっています。入居できる順番は申込順ではなく、各自治体の優先入居指針に沿って判断され、独居で要介護度が高い人が優先されます。

老健は、病院に長期入院していた人などが、在宅復帰を目指すための施設です。要介護度1〜5で病状が安定している人が対象で、医学的な管理のもと、介護や看護、リハビリなどが受けられます。在宅復帰を目指すため、滞在できるのは原則的に3〜6カ月ですが、長期間、入居できる施設もあります。また特養に入れるまでの間、老健で過ごすケースもあります。

東京都区部の施設では、要介護5の人がユニット型個室を1カ月利用した場合、食費や日用生活費(約1万円)を含めて14万円などの例があります。

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