お客様視点のモノづくりに徹する--伊奈功一・ダイハツ工業社長

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 --軽の車格でリッター30キロメートルの低燃費を実現する技術的ブレークスルーは何でしょうか。

エンジンと軽量化です。エンジンはアイドリングストップ、EGR(排気ガス再循環)をめいっぱい使うとか、燃焼効率の原点からの見直し、フリクション(摩擦)ロスの低減、そういった、3気筒エンジンで出来うることをみんなやってみようと。いろいろやるとコストがアップするものですが、それを極力抑えながら軽として成り立ちうる価格で提供できるようなことができないのかをやっている。

もう一つは軽量化ですね。軽くしないといかんもんですから。しかし軽くすると大体はコストアップになることが多いですよ。それを極力抑えながら、軽量化するためにどうすればいいかということをめいっぱいやっています。

--日産の新型マーチの印象はどうですか。

新聞で見ただけですが、大変素晴らしいですね。リッター26キロメートルですか、小型車で燃費がよくて価格も手頃ということで、われわれ軽としては大変競争が厳しくなってくると思っています。しかし競争には勝っていかないと、生き残れない。ぜひそういう車に勝てるようにしないといけない。「イース」は勝っていけるであろうと思う商品として出していきたい。

--軽自動車はかつて「2リットル車の4割の値段で買える」といわれたものですが、最近の軽は大きくなり居住性が増し安全性も高まってきた一方で、価格も高くなってきました。「イース」の値段設定のイメージは。

ダイハツ「タント」のように居住空間を非常に広くとった車は、軽の1つの革命でした。大変良かった。タントのような形が一つできたので、もう一つとして、燃費の分野で軽としての存在感を示し、しかも価格が軽にふさわしい--そんな技術があれば、これから軽としていろんな形の商品ができるでしょう。そういう意味から、「イース」はダイハツの最重点プロジェクトと位置付けています。

--競争力がある価格帯とは。

だいたい100万円というのが1つの目安でしょうか。それにふさわしいような形で考えています。軽を買っていただけるお客様は地方のかた、高齢のかた、女性も多いものですから。あまり高くては燃費がいくらよくても買っていただけません。そういう方々に納得していただける形で出したい。

--イースは少し早まったという認識でいいでしょうか。

今の状況から言ってスピードが大事ということもあって、かなりリソーセスを投入したことは確かです。早く出さないと、さっきの日産マーチみたいな話もあるが、小型車の攻勢がものすごく大きい。ハイブリッドの攻勢も大きい。そんな中で、早く出さないとダイハツの存在感を示さないと埋没する危険性がものすごくあるということで、前倒しというか、ちょっと早く、精力的にやったとは言えると思います。 

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