それでもマツダが「自動運転レベル0」と表する訳 2022年発売「異常時対応システム」の超技術

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CO-PILOT CONCEPTの試乗体験は、しょっぱなからかなり強烈なものだった。時速80kmで高速周回路の直進部分を走行中に、「ぐったり寝てください」と言われたのだ。

「居眠り検知」を作動させるため、故意にちょっとうつむき加減で目を閉じて、両手をハンドルから離し、アクセルを踏む力も一気に弱めた。

居眠りを想定し、うつむき加減で両手両足を離した(同乗のマツダ関係者による撮影)

すると、3秒前後でCO-PILOT CONCEPTが作動。ホーンが鳴り、ハザードライトが点き、さらにブレーキランプが点滅しながら、高速道路等の自動車専用道での最低速度である時速50kmまで自動で減速して、まるで自動運転のようなクルージングが始まった。

この状態で「マツダらしさ」を感じたのは、ダッシュボード中央の画面とドライバーの目の前のインパネ中央部で、CO-PILOT CONCEPT作動中を示す、外装ロゴ等でも使用しているアンバー色の表示だ。この表示には、筆者の想像通りマツダデザイン本部による”かなりのこだわり”があるという。

システム作動による減速時の表示(写真:マツダ)

そして、時速50kmまで減速したCO-PILOT CONCEPTはその後、システムが最寄りの非常退避場所を地図情報から自動検索し、車載カメラが周辺状況をリアルタイムで把握して、ハンドル操作を行ってスムーズに完全停車した。

マツダによると、高速道路の設計要件から非常停車帯の設置間隔を考慮し、今のところは時速50kmでの緊急自動走行時間を約3分間までとしている。

急病を想定して「倒れ込んでください」

また、車線変更時に隣の車線に接近車両がある状況も体験した。

CO-PILOT CONCEPT搭載側での体験に加えて、接近車両側にも同乗してCO-PILOT CONCEPT搭載車の動きを外から確認することもできたが、ハザードライトやブレーキライトの点滅以外にも、何らかの形で異常を外部に強く知らせる工夫が必要だとも感じた。

そのほか、CO-PILOT CONCEPT車内で意識喪失や急病が発生したことを想定して、「今度は倒れこんでください」とも言われた。車内中央方向に対して、上半身を一気に倒れこませるというシチュエーションだ。

急病を想定して身体を倒れ込ませた様子(同乗のマツダ関係者による撮影)

この場合でも居眠り運転時と同じように、スムーズに自動減速して最寄りの非常停車帯で完全停止した。そして、停車後はヘルプネットを通じて、自動的に救急車等の出動を要請する。

次に、一般道路を模したワインディングコースに場所を移し、高速周回路と同じように居眠りや体調急変の状態を想定した走行を行ったが、このシチュエーションでは約60秒間、安全な速度維持を行いながら、非常退避場所に停止した。

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