「ゲレンデのEV」まで用意するベンツのEV戦略 EQブランドで「フルラインナップ」を目指す
メルセデス・ベンツは2021年7月22日に「市場環境が整えば、2030年に新車100%をEV化する」と発表していたが、このたび、その具体的な内容が明らかになった。その手法は、日系メーカーのEVブランド戦略とは大きく違う。
ダイムラーのオラ・ケレニウスCEOは2021年9月6日、ドイツ南部のミュンヘンで初開催となったドイツ自動車工業会主催の国際モーターショー「IAA モビリティ」でEVに関する発表を行った。
それによると、2022年までに「全セグメント(クラス)で1モデル以上」「2025年までに全モデルで1モデル以上」のEVを組み込むという。
また、2025年までに3つのEV専用車体を市場導入したうえで、xEV(プラグインハイブリッド車など含む電動車)のシェアを50%以上とし、最終的には2030年までに市場環境が整えば全モデルのEV化を進めるとした。
「EQA」から「EQG」「EQV」まで
プレゼンテーションでは、ニューモデルとして「EQE」「EQS53 AMG」、そしてコンセプトモデルの「マイバッハEQS」「EQG」を公開。
その日のプレスリリースには、コンパクトモデルからパフォーマンスラグジュアリーサルーン、多目的なミニバンタイプのMPVまで、メルセデス・ベンツのEVブランドである「EQ」をフルラインナップ展開すると説明した。
具体的には「EQA」「EQB」「EQC」「EQE」「EQS」「EQG」「EQV」などである。既存のA、B、C、E、S、G、Vの各クラスに対してEVグレードを設定するという商品構成だ。
これをトヨタで例えるならば、「ヤリスEV」「カローラEV」「クラウンEV」「ランクルEV」……といった、全方位型のEV戦略だといえる。
実はトヨタも、こうした「〇〇EV」という製品企画を行っていたことがある。アメリカ・カリフォルニア州ZEV法(ゼロエミッションヴィークル規制法)対応のため「RAV4 EV」を販売したり、マイクロカーの「iQ」をベースとした「eQ」を試験的に少数販売したりしていたのだ。
しかし、今後のEV戦略ではEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を使った「bZ」(ビージィー)を主体するとし、既存モデルのEV化について事業方針の発表はない。
日系メーカーの中でEV事業で先行する日産も、同様だ。EV専用車では「リーフ」に加えて「アリア」を今冬に正式発表する予定だが、電動化の主力はエンジンを発電機として使うe-POWERに置いている。
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