空前の「レコードブーム」に喜ぶ人、焦る人の実態 テイラー・スウィフトやアデルも苦しむ物不足

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もっとも、レコードの生産遅れがさらに長引いてファンやアーティストのいら立ちが募るとか、レコードがTシャツやキーホルダーのような単なるグッズ扱いとなって飽きっぽいファンが離れる展開となれば、せっかくのレコードブームも台無しとなりかねない。

古くからのレコード愛好家の間には、最近のファンの多くはコレクションするのが楽しくてレコードを購入しているだけで、実際には一度も針を落としたことがないのではないか、という疑念が以前から渦巻いていた。

フガジなどポストパンクを象徴するバンドを擁するワシントンDCのレーベル「ディスコード・レコーズ」のブライアン・ローウィットは、「コロナ禍になって、『ジャケットの角が少し折れ曲がっている』といった苦情が通販の客から大量に寄せられるようになった」と話す。

「それでレコードはちゃんと再生されますかと尋ねると、こんな答えが返ってくるんだ。『わかりません。包装のフィルムも破いてないし』」

アーティストにとっては重要な収入源

メジャーレーベルの後ろ盾がないアーティストにとっては、アナログ盤にこだわるかどうかは、それだけの手間をかける価値があるのかどうか、といった問題になっている。

最新アルバム『アン・オーバービュー・オン・フェノメナル・ネイチャー(An Overview on Phenomenal Nature)』のレコードがサプライズヒットとなったニューヨークのシンガーソングライター、カサンドラ・ジェンキンスは、「今はレコードを出すことが理にかなっていると思う」と話す。同作のプレス枚数は300枚から始まり、最終的には7000枚になった。

「これはアーティストにとっての投資なの」とジェンキンスは語る。「私は売れるモノが欲しいから、レコードに投資する」。

(執筆:Ben Sisario記者)
(C)2021 The New York Times Company

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