JR千葉駅に挑戦、京成「千葉中央新駅ビル」の秘策 街に足りないピース埋め、人の流れを取り戻せ

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京成はこのビルの開業を契機に、どのような戦略を描いているのか。それを知るためには、このエリアの歴史をおさらいしておく必要がある。

千葉中央駅の東口には、右手に千葉県庁をはじめとした官庁街、左手には「千葉銀座商店街」に代表される繁華街が広がる。「かつては間違いなく千葉市の中心にある駅という位置付けだった」(清水氏)。

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駅のルーツをさかのぼれば、1921年に現在地からやや離れた場所で「千葉駅」として開業。1931年に「京成千葉駅」に改称した。その後、紆余曲折を経て、1958年に現在の位置に移転したが、官庁街への通勤や買い物に便利な駅という位置付けは変わらなかった。京成グループのホテル、映画館、ボーリング場などが集積した駅は娯楽の中心地であると同時に、京成にとってもグループの一大拠点であった。

1987年、国鉄(現JR)千葉駅に隣接する駅を京成千葉駅に改称するのに伴い、旧京成千葉駅は駅名を現在の千葉中央に改めた。

商業の中心は移ったが…

JR千葉駅周辺の開発が進み、モノレールが千葉駅に乗り入れるようになると、次第に人の流れがJR千葉駅周辺に集まり始めた。

現在の商業の中心はJR千葉駅付近だ(記者撮影)

千葉駅では駅ビル建て替えによって、2018年に駅商業施設「ペリエ千葉」がグランドオープン。京成千葉に隣接する大手百貨店「そごう」や家電量販店「ヨドバシカメラ」、高架下のショッピングストリートと合わせて、千葉駅エリアの魅力をさらに押し上げた。

千葉銀座など街の商店街は郊外のショッピングモールの台頭に押される形で集客力を減らしていただけに、JR千葉駅エリアの台頭は大きな脅威となった。

もっとも、この間の千葉中央駅の利用者は減少するどころか、むしろじわじわと増加していた。千葉銀座にあった商業施設跡地に地上43階建てのタワーマンションが建設されたほか、駅の西口に広がっていた住宅地でもマンションの建設が進み、千葉中央から通勤する利用者が増えていたのだ。

今後も、同駅東口から徒歩2分の位置に全253戸のマンションが2022年3月にオープンするほか、2016年に閉店した「千葉パルコ」が2023年に地上31階建ての高層マンションに生まれ変わる。街のありようが変容しつつあるのだ。

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