カローラクロスに滲み出る「カローラらしさ」の源 トヨタがこの車に「カローラ」の名を与えた意

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カローラも現在では世界150カ国以上で販売されており、累計販売台数は5000万台を突破しているが、半世紀以上前に初代が登場したときは、国内向けの大衆車だった。日本ではそのイメージが今も色濃く残っていることから、独自の顔を与えてまでカローラシリーズらしさをアピールしたのだろう。

そんなエクステリアと対象的なのがインテリアで、こちらは他のカローラと似た造形だ。

カローラシリーズと共通性のあるデザインが“ファミリー”であることを体現している(写真:トヨタ自動車)

とりわけインパネは、ドライバーの前のメーターパネル、センターの大きなディスプレイ、矢尻のような形状のエアコンルーバー、オーソドックスなレバーを用いたセレクターレバーなど、共通する部分が多い。

トータルバランスとバリューフォーマネー

国内向けのカローラ クロスは、ベース価格が200万円未満というロープライスも話題になった。199万9000円というベース価格は、Bセグメントのヤリス クロス(178万9000円)とそれほど変わらないから、驚きだ。

ひとクラス下のBセグメントながらCセグメントに近いボディサイズを持ち、前席下に燃料タンクを置くことで広いキャビンを実現したホンダ「ヴェゼル」を意識したのかもしれない。ただし、クオリティーにその数字から想像するような安っぽさはなく、他のカローラと同レベルにある。

カローラ スポーツ(左)カローラ ツーリング(中央)カローラ セダン(右)からなるカローラシリーズ(写真:トヨタ自動車)

車内空間は、キャビンよりもラゲッジスペースが印象的だった。後席の広さはこのクラスの平均レベルなのに対し、荷室は5人乗車時で487リッターと、C-HR(318リッター)の1.5倍以上になる。たしかに奥行き、幅ともにこのクラスのSUVとしては広大だ。

同じ日本車でカローラ クロスのライバルを考えると、前述したC-HRやヴェゼルのほか、スバル「XV」、マツダ「CX-30」あたりが思い浮かぶ。

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CX-30はC-HRと同様のスタイル系SUVであり、XVはハッチバックの「インプレッサ」派生ながらオフロード走破性の高さが光る。ヴェゼルはキャビンの広さでライバルを圧倒している。

こうして見ると、カローラ クロスの魅力はトータルバランスとバリューフォーマネーにあると感じる。それはカローラのブランドイメージそのものであり、SUVであっても「カローラはカローラ」という思いに至った。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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