カローラクロスに滲み出る「カローラらしさ」の源 トヨタがこの車に「カローラ」の名を与えた意

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ここではヤリス クロス、C-HR、ハリアーが当てはまる前者をスタイル系、ライズ、カローラ クロス、RAV4が該当する後者をスペース系と呼ぶとすると、トヨタはそれぞれのクラスに、スタイル系とスペース系の2種類のSUVを用意しようとしているというわけだ。しかし、Cセグメントにはこれまで、C-HRしかなかった。

「C-HR」は後席や荷室を小さくし、クーペのようなデザインとしているのが特徴(写真:トヨタ自動車)

ヨーロッパをメインマーケットに据え、走りの良さをデザインでもアピールしたC-HRは、発売直後こそ「プリウス」に匹敵する販売台数をマークしたが、その後は伸び悩んだ。インターネットの書き込みを見ると、「車内の狭さ」を欠点に挙げるユーザーが目立つ。

C-HRがデビューした5年前、SUVはまだ「個性的な車」と考える人が多かったと記憶している。しかしその後、多くの車種が登場したことで一般的になっていくと、背の高い車体がもたらす広さや使い勝手で選ぶユーザーが増えた。

そこにカローラ クロスを加えることで、Cセグメントにもスペース系SUVの選択肢を用意したのではないかと考えている。

カローラファミリーを強調するディテール

スタイリングを見ていくと、まず顔つきは他のカローラに共通する薄いアッパーグリルとヘッドランプを主体としており、エンブレムも他のカローラと同じ、「C」をモチーフとしたものが装着されている。

エンブレムだけでなく、バンパー形状にもほかのカローラシリーズとの類似性が見える(写真:トヨタ自動車)

しかし、サイドやリアは、ひとクラス上のスペース系SUVであるRAV4に近い。具体的には後端が「く」の字型となったサイドウインドー、横長で高い位置に置かれ、サイドへの回り込みの先端を尖らせたリアコンビランプなどだ。

RAV4のほうが前後のフェンダーをはじめ、ディテールが全体的に角張っているが、これはオフロード性能の高さを強調したものである。

「カローラクロス」よりも角張ったデザインでオフロード車らしさを強調する「RAV4」(写真:トヨタ自動車)

RAV4とは明確に違うフロントマスクは、実は国内向け独自ものだ。2020年7月にタイで発表された海外向けカローラクロスは、薄いアッパーグリルがなく、RAV4のそれに丸みを加えたような、台形グリルが基調である。

RAV4は2020年に最も売れたトヨタ車でもある。海外向けがカローラクロスを名乗りつつ、ベストセラーカーRAV4の弟的な位置付けとしたのに対し、国内向けはカローラシリーズの一員であることを強調していると感じた。

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