野党善戦で緊迫「自民単独過半数」狙う首相の命運 「統一候補の効果は予想以上」と自民選対は警戒
10月31日投開票の衆院選は中盤に入り、全国津々浦々で与野党候補が声をからし、選挙ムードも一定の盛り上がりをみせる。その中で注目されるのが岸田文雄首相の「政治的勝敗ライン」だ。多くの序盤情勢調査で、野党が叫ぶ政権交代の可能性は消えつつあるが、その場合の自民党獲得議席が第2次岸田政権の命運を左右するからだ。
岸田首相は勝敗ラインを「与党で過半数」と繰り返す。これは第2次安倍晋三政権下での衆院選とまったく同じだが、多くの与党幹部は「本当の勝敗ラインは自民党の単独過半数(233議席)」と口をそろえる。
今回選挙戦でも堅調な戦いを展開する強固な組織票を持つ公明党の議席(30前後)を加えれば、「自民単独過半数が与党絶対安定多数(261議席)に直結する」(自民選対)。そうなれば、岸田首相は選挙後の政権運営での求心力確保が可能となり、来夏の参院選で負けなければ3年の任期まっとうへの道筋が開ける。
その一方で、自民の獲得議席が全体の半数以下となり、与党絶対安定多数も達成できなければ、選挙後の政権不安定化は避けられない。立憲民主党など野党側は大幅議席増で政権攻撃を倍加させ、自民党内でも早期のポスト岸田をにらんだ動きが台頭しかねないからだ。
メディアや各党の序盤調査では「単独過半数は微妙」
大手メディアや自民党をはじめとする各党の序盤情勢調査でも、「自民の単独過半数は微妙」との表現が目立つ。しかも「選挙は終盤の数日間で勝負が決まる」とみられるだけに、東奔西走で支持を訴える岸田首相にとって、今後1週間あまりは自民の議席確保に神経をすり減らす日々ともなる。
政権交代の可否に絡む衆院選での「勝敗ライン」は①過半数、②安定多数(244議席)、③絶対安定多数の3つ。最大のポイントは①過半数で、野党が過半数を獲得して特別国会での首相指名で統一候補を擁立すれば政権交代が実現。逆に与党が過半数を維持する限り、政権交代は起こらない。
安定多数と絶対安定多数は国会法に基づく数字で、政局運営の安定度を占うカギともなる。安定多数は「すべての常任委員会で委員の半数を確保し、かつ各委員会で委員長を独占するのに必要な議席数」。与党が安定多数を確保すれば、各委員会での委員数の与野党逆転はなくなり、法案審議などでの国会混乱を防げる。
さらに絶対安定多数は「すべての常任委員会で委員の過半数を確保し、かつ各委員会で委員長を独占するのに必要な議席数」。与党で絶対安定多数を確保すれば、衆院選前と同様に、完全に法案処理の主導権を握れる。
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