スタバ「労働組合」組織への超威圧的な対抗策 本部幹部らを大量に店舗へ送って「監視」?

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従業員たちは、新しいマネジャーや幹部が別の地域から突然やってくるたびに、不安が高まっていると訴える。

9月に開かれた会合を録画した映像の中で、アリゾナ州のある地区マネジャーは、バッファローの店舗で向こう90日間働くよう会社から指示されたと同僚に語っている。「大規模な特別チームが、事の収拾に当たっている。もしバッファローで組合が組織されれば、スターバックスの歴史で初の事態だからだ」と、映像でこの地区マネジャーは語っている。

この映像は会合参加者の1人が提供したもので、ニューヨーク・タイムズが内容を確認した。特別チームの結成は「組合組織化の動きを止める窮余の策なのか」という質問に対して、地区マネジャーは「そのとおり。私たちは運動を救わなければ」と答えている。

幹部の存在を威圧的に感じる従業員

バッファロー郊外のハンバーグという場所でも組合投票への申請があった。ここでバリスタとして働くウィル・ウェストレイクによると、店の記録から、過去6週間の間にバッファロー地域外から何人もの幹部が来ていたことがわかる。その中の1人、北米の小売り部門を統括するロザン・ウィリアムズは少なくとも7回訪れている。

ウェストレイクによれば、幹部社員たちは、時にバリスタの正面でノートパソコンを広げて作業したり、カウンターの後ろで一緒に仕事をしながら店について質問したり、トイレ掃除のような雑用をすることもある。ウェストレイクの同僚の多くは、これら幹部の存在を威圧的に感じており、彼自身はウィリアムズが目の前にいることを「シュールだ」と思っているという。

スターバックスの説明では、こうした幹部社員の多くは、地域の責任者やコーチ役で、業務上の問題を解決したり、店舗を新装する手助けをしており、人員の派遣は、5月に新型コロナウイルス感染症の患者数が減少に転じたために客足が伸び、全国の店舗で人手が足りなくなったことへの全社挙げての取り組みの一環ということである。

「ビジネスの再開があまりにも急速で、準備ができていなかった」とウィリアムズはあるインタビューで語っている。

スターバックスによると、同社はバッファローだけでなく、とくに中西部と山岳部の多くの都市で人員を増やしており、この春には採用を促進するため、12ある営業地域のすべてで求人担当者を増やし、約40の店舗を臨時の研修施設へ転換したということである。

(執筆:Noam Scheiber記者)

(C)2021 The New York Times Company 

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