ヤマハの「3輪バイク」がロケットスタート いったい誰のハートをわしづかみに?
日常の移動手段としてバイクを選ぼうとすると、手頃なスクーターが基本的な選択肢になる。だが、どうしても個性が乏しく、面白みに欠ける。その点、トリシティはこれまでにないスタイルで、デザイン上の差別化は申し分ない。
トリシティは世界中で販売するグローバル量産モデルとして開発された。タイで生産することでコストダウンを図っており、日本での販売価格は同クラスのスクーターよりやや高い程度に設定した。33万円ならば十分に日常の足の範疇に入る。既存の輸入3輪バイクは車体が大きく、価格も80万円以上と、完全に趣味の乗り物だ。こうしたバイクに興味はあったものの、大きさや価格などからあきらめていたユーザー層も取り込めたようだ。
開拓を狙うユーザー層
発売前から好スタートが見込まれるが、従来のスクーターユーザーに加えてこれからヤマハが目指すのが、若年ユーザーの開拓だ。発表前からモーターショーなどでコンセプト車を公開していたが、そこで「意外に若者からの反応がよかった」(宮本課長)という。「ここ10年ほど、学生など若者を調査しても、バイクへの関心は低く、抱くイメージも悪かった。だが、トリシティに対してはユニークな乗り物として高い関心を示し、試乗意向なども強かった」と手応えを感じている。
現在、国内のバイク市場は年々縮小が続き、新車販売台数は、今やピーク時の1982年から8分の1に低迷している。足元は中高年の”リターンライダー”需要に支えられた大型バイクが堅調とはいえ、今、若年層需要を掘り起こしておかなければ先細りは必至。そんな中、トリシティに対する若者層の予想外の関心の高さは、まさにバイク復活への一筋の光明といえる。
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