最新「ESGに優れた企業ランキング」トップ200社 ESGの取り組みは株価にどう反映されているのか

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さて、10位までの計11社の株価はいずれも上昇していた。上昇率の平均値は31.0%。日経平均、TOPIXを上回ったのは8社、下回ったのは3社となった。

東洋経済CSRデータに基づいた評価上位企業と株価の動きを比較するという試みはこれまでも数多く行ってきた。だが、このように平均上昇率が日経平均などのインデックスを上回るのは、これまで15年以上分析をしてきたが記憶にない。

ESGの高評価企業に買いが集まるという、投資家の行動がこれまでとは変わりつつあることを感じる。これがブームで終わるのか、それとも継続的に続くものなのか、今後も注目だ。

ESG評価のさらなる発展のために

続いて、毎年恒例のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のESG指数構成銘柄のうち、東洋経済CSR調査には未回答で公開情報から調査した企業を見ていこう。MSCIが作成している2つのインデックスのうち、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数に取り上げられている日本取引所グループ、東武鉄道、キーエンスの3社をご紹介する。

いずれも東洋経済CSR調査に回答はなく、公開情報から下記の『CSR企業総覧』2021年版掲載情報を作成している。

『CSR企業総覧』(東洋経済新報社)。書影をクリックすると東洋経済STOREのサイトにジャンプします

日本取引所グループ(143.4点)は694位。昨年754位から上昇した。企業統治56.3点、人材活用42.4点と依然低いものの少しずつ上がっている。株価は2020年8月末の2748円から2774円と0.9%上昇している。

続いて東武鉄道は702位(140.3点)。新型コロナの影響もあり業績は急激に悪化。こうした影響もあったためか株価は3310円から2866円と13.4 %下落した。最後にキーエンスは82.2点の812位と評価は低いものの、株価は4万3680円から6万4270円と47.1 %上昇した。

この3社は公開情報も十分ではなく、われわれの評価は高くない。ところで、こちらはサンプルとして提供している今回4位でCSR企業ランキングでは3位の富士フイルムホールディングスの掲載ページだ。情報の差は歴然としている。

ESGの評価は、アンケートや公開情報などで集めた情報に基づくのが基本だ。東洋経済は『CSR企業総覧』という刊行物でそのベースとなる情報を示している。評価する側は最低限こうした利用情報は開示すべきではないか。そうすることで、評価手法について関係者の議論も深まりESG評価のさらなる発展につながるはずだ。

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