米国の経済成長源「イノベーション」を生む2要因 「人口増」だけではない、他国を突き放す強み

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実は日本でも、規制を緩めることによって著しく技術が進化した分野があります。iPS細胞による再生医療です。この分野については、「やりたい放題」といえるほどに規制緩和を進めました。その結果、さまざまな治験が進み、日本は世界一といってもいいほど技術が進化しました。

新型コロナウイルスの感染が世界中に広がる前までは、米国やアラブ諸国、中国の富裕層がプライベートジェットに乗って日本に来て、若返りのための施術を行って帰国するということが、頻繁に行われていたくらいです。それは日本の再生医療分野における技術が世界一だったからにほかなりません。うまく規制を緩和させれば、イノベーションは物凄い勢いで進むことの好例です。

その日本がなぜ暗号資産、ブロックチェーン技術で米国の後塵を拝することになったのかというと、規制でがんじがらめにしてしまったからです。イノベーションを促す余地をうまく作らず、規制だけを先行させてしまいました。これが最大の敗因といえるでしょう。

米国を下支えする「人材の分厚さ」という強み

そしてもうひとつ、「人材の分厚さ」も米国のイノベーションがうまくいく理由です。

先般の大統領選挙において、ドナルド・トランプ前大統領は1期でその職を辞めることになり、代わってジョー・バイデン大統領が誕生しました。共和党政権から民主党政権へと体制が大きく変わったのです。

あまりいい例ではありませんが、日本でも自民党政権が野に下ったときがありました。古くは1993年から1994年までの非自民・非共産連立政権時代と、2009年から2012年にかけての民主党政権時代ですが、結局、それまでの野党が与党になった途端、政権は機能不全に陥りました。

ところが米国の場合、政権党が代わったくらいで機能不全になど陥りません。その背景には、政治家だけでなく、政治家を支えるスタッフの人材が非常に分厚いことが挙げられます。実際、2020年に行われた大統領選挙でも、トランプからバイデンに大統領が移り、共和党政権から民主党政権に移行したものの、何の問題もなく国が動いています。

この人材の分厚さは政治の世界だけでなく、軍隊から経済、金融に至るまで、あらゆるところに見られます。この人材の分厚さこそが、米国の底力といっても過言ではありません。そして、この人材の分厚さは、移民政策によるものです。皆さんが知っている米国の有名な起業家は、必ずしも米国生まれとは限りません。グーグルの創業者であるセルゲイ・ブリンはロシア生まれですし、前出のイーロン・マスクも南アフリカ共和国の出身です。

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