眠りが浅い人ほど「酒をやめた」ほうがいい理由 飲んだ翌日疲れるのは「夜間低血糖」が原因かも

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今から2年ほど前、ある雑誌の女性記者がクリニックに血糖値についての取材に来たことがある。そのとき、体験も兼ねて、随時血糖測定検査をした。

随時血糖測定検査とは、血糖調節異常を調べるための検査である。日々の食事日記とともに、上腕部に貼った機器を使って、血糖値を測定することで、食べたものと血糖値の動きの関係性がわかるのだ。測定期間は1週間以上、2週間まで可能だ。

機器は肌に密着した状態なので、30分以内なら測定をしながら入浴することもでき、装着し続けても負担にならないようになっている。もちろん、寝ているあいだの血糖値も測定できる。

その結果、なんとほぼ毎日、夜間低血糖を起こしていることが判明したのである。本人によると、「食後に異常なほどの眠気が襲う」「甘い物を食べたあとに動悸や倦怠感がある」、さらには低血糖で気を失った経験もあるということだった。


ところが普段はほとんど甘い物を食べないため、まさか低血糖とは思っていなかったという。ただし、非常に酒好きだということだった。

毎晩基準値を下回る血糖値。これでは、いつも眠った気がしないのではないかと思われる結果だった。

夜中にうなされることも

聞くと、中途覚醒、早朝覚醒は当たり前、彼女のご家族によると夜中にうなされているようなこともあったらしい。

夜間低血糖では、寝ているあいだに下がりすぎた血糖値を上げるために、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどの興奮系ホルモン(交感神経を優位にさせる)が分泌され続けている。これではおちおち寝てもいられないはずだ。

彼女の場合、食生活と照らし合わせると、夜間低血糖の原因は飲酒にあることは明らかだった。そこですべてのアルコールをやめてもらった。すると、「本当によく眠れるようになった」というのだ。しかも朝の目覚めもよく、次の日も元気で仕事も順調に進んだという。

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それまではほぼ毎日飲酒をしていたため、お酒を飲まないで眠ると、どれだけよく眠れるかを実感できなかった。やめてみなければわからない、というわけである。

その後、試しに少しお酒を飲んでみると、眠りが浅くなるのがわかったと言い、この取材を機に基本は飲まない生活に変わったという。

彼女は大酒飲みではなかったが、酒量が多くなくても夜間低血糖を起こす可能性は誰にでもある。

もし中途覚醒や眠りが浅いことに自覚があったり、日中に耐え難いほどの睡魔に襲われることがあれば、一度、お酒をやめてみてほしい。質のいい睡眠の何たるかがわかるかもしれない。

溝口 徹 医師

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みぞぐち とおる / Toru Mizoguchi

1964年神奈川県生まれ。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学病院、国立循環器病センターを経て、1996年、痛みや内科系疾患を扱う辻堂クリニックを開設。2003年には日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニック(現・みぞぐちクリニック)を開設。オーソモレキュラー(分子整合栄養医学)療法に基づくアプローチで、精神疾患のほか多くの疾患の治療にあたるとともに、患者や医師向けの講演会もおこなっている。著書に『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』『発達障害は食事でよくなる』(小社刊)、『花粉症は1週間で治る!』(さくら舎)などがある。

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