音楽で成功した人=最高の仕事人である納得の訳 音楽に不可欠な要素はビジネスにそのまま通じる

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なかには必要以上に上昇志向を持っているリーダーもおり、そういうタイプは自分にとっての理想を部下に押しつけてしまいがちだ。しかし、それは正しい判断とは言えない。本当に優れたリーダーは、そうした手段を選ばないものだ。

著者もまた、次のように述べている。

ハンクの話を聞きながら、僕たちは仕事の中で何度も感じたことを思い出して彼の言葉に深く共鳴した。チームが最高の結果を出すのは僕たちの高圧的な態度の賜物ではない。僕たちにとって一番の成功はみんなと一緒に成功を分かち合ったときだ。これは決して綺麗ごとではない。リーダーシップにおいて欠かせない教訓であり、みんなが力を発揮できる環境作りのコツをつかむ上でも必要なことだ。文化を築き助言を与え、ハンクが言う通り手助けすることである。(167ページより)

そのことを特に実感できるのは、野心と精力あふれる“完成したメンツ”がそろったチームを率いたときだとも著者は言う。そんなときは、成功するために集まったのだと自覚してもらうだけ。あとは彼らに任せるだけでいいということだ。

信頼がないとコラボする意味がない

だとすれば、そこで大きな意味を持つのは信頼関係だ。お互いを信頼できてこそ、リーダーは任せることができるのだし、プレイヤーは躊躇することなく力を発揮できるのだから。

T・ボーン・バーネットも、同じような考え方を持っているようだ。1970年代にボブ・ディランのバンドのギタリストとして活動したことからその名を知られるようになった、ミュージシャン、ソングライター、プロデューサー。

ソングライターとしてオスカーを、プロデューサーとして(13回)グラミー賞を受賞した実績の持ち主。手がけたアーティストもカウンティング・クロウズ、エルヴィス・コステロ、グレッグ・オールマン、ロイ・オービソンなど多彩。さらには映画『コールドマウンテン』、『クレイジー・ハート』、『オー・ブラザー!』、ジョニー・キャッシュの伝記映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のスコアも作曲している。

成功のバックグラウンドに、多くのアーティストからの厚い信頼があることは想像に難くない。つまり信頼関係があってこそ、彼は成功できたのである。そして、そんな彼のマネージメント、リーダーシップ、インスピレーションについての考え方にも興味深いものがある。

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