課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠 電力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる
電力不足に対応する時間は十分にある
――EVが普及すれば、電力不足になると心配する声があります。日本自動車工業会の会見で、豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が「国内の乗用車がすべてEV化したら、夏の電力使用のピーク時に電力不足になる。解消には発電能力を10~15%増強しないといけない。これは原子力発電で10基、火力発電なら20基に相当する」と述べています。
国内の乗用車総保有台数約6200万台が全部EVに置き換わったとして、1年間に必要な電力を試算すると現在の日本の年間総発電量の約1割となる。
だが、問題はEVの普及によって増える電力量よりも、充電するタイミングが重なることだ。豊田会長の試算は、それを念頭に置いているのではないかと思う。
――約1割増える電力はまかなうことができる、と。
今すぐに新車販売をすべてEVに切り替えたとしても、約6200万台の乗用車をすべてEVに置き換えるのに15年かかる。その前に新車販売をすべてEVにするにも何年もかかる。対処する時間は十分にあるはずだ。
――そもそも日本は電力の約7割が火力発電由来です。EVに切り替えてCO2排出量は減るのでしょうか。
今の日本の電力構成を前提に見積もると、送電と充電のロスを考慮しても、EVのライフサイクル(製造時から廃棄時まで)全体でのCO2排出量はハイブリッド車(HV)と同程度になる。
ただ、日本が今後(再生エネルギーの比率を増やすなど)電力の(CO2の)低排出化を進めていけば、販売済みのEVのCO2排出量も減少していく。欧州やアメリカのカリフォルニアのようにすでに電力の低排出化が進んでいる地域では、現時点でもHVよりEVのほうが何割も低排出になっている。
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