課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠 電力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる
――急速充電は補完的な位置づけだとしても、国内の急速充電器はまだ少なく、ガソリンの給油に比べると時間がかかります。EVが普及すれば、充電待ちの行列ができるのではないでしょうか。
海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置されていない。基数も少なく、充電待ちも長くなりがちだ。
ただ、EVの充電はガソリン車の給油よりも便利な点がある。EVならコンセントにつないでから、その場を離れて用事を済ませることができる。トイレに行ってもいいし、食事をしてもいい。タバコだって吸える。夏場ならエアコンをかけて車内で待っていてもいい。ガソリン車は給油中に車を離れにくいので、用事を済ませてから給油しないといけない。
また、急速充電器そのものが進化しているため充電時間は短くなっている。ガソリンなら給油にかかるのが約3分としても、代金を払ったりしていればトータルでは5分くらいはかかるものだ。EVの充電なら充電の終了と同時に支払いまで自動でできる。さらに急速充電が進化すれば、充電時間の長さはそこまで気にならなくなるのではないか。
業務用の車両などでは無線充電の利用も考えられており、すでに規格化も済んでいる。
課題を解決することがビジネスチャンスになる
――急速充電が進化すれば、短時間に大量の電力が必要です。電力システムへの負荷が大きく、対応するには多額の設備投資が必要になります。
そのとおり。例えば、東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない。高速道路事業者がそこまで投資をするのは難しいだろう。
サービスエリアでも電力需給が逼迫する時間、急速充電が混雑する時間などで充電料金を高くすることが考えられる。ただ、サービスエリアに太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる。投資額は増えるが非常用の電源にもなり、災害対策としても意味がある。いずれにしろ課題があれば、それを解決することがビジネスチャンスになる。
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