産業リサーチ(電子部品) 独立色強くセットメーカー中心の再編は起きにくい

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電子部品は、抵抗器、コンデンサ、トランス、水晶振動子などの「受動部品」、コネクタ、スイッチ、リレーなどの「接続部品」、プリント配線板の「電子回路基板」、音響部品、磁気ヘッド、超小型モーターなどの「変換部品」、スイッチング電源やチューナー、アンテナなどの「その他電子部品」などに分けられる。これらを製造するのが電子部品メーカーだ。半導体関連部品メーカーは別建てにし、この業界に含まない場合が多い。
 家電をはじめ、高品質が売り物の日本の民生および産業用電機製品を支えてきたのが、日本の電子部品メーカーだ。ただ納入先の電機メーカーの多くも自社製品に組み込む電子部品を生産しており、いわば電子部品メーカーのライバルでもある。またこの業界には、戦後半世紀以上をかけて数多くの中小メーカーが淘汰・再編を繰り返し、結果的に現存の大手部品メーカーに集約されたという歴史がある。このため電子部品メーカーはセットメーカーの系列には連ならない独立色が濃く、カリスマ的なオーナー経営も多い。一方、国内メーカーの系列色がないことは国内にこだわる必要がないことでもあり、納入先は内外問わず国際化は早くから進んでいる。
 電子部品が使われる製品群は多岐にわたるが、近年ではパソコンと携帯電話が二大最終製品で、その需要動向に各社の業績が大きく左右される。パソコンのハードディスクドライブ用スピンドルモーターや情報を書き込む磁気ヘッドは、日本電産、TDK、アルプス電気などのメーカーが寡占化しており、激烈な競争を繰り広げている。また2002年度以降は、携帯、PC市場の落ち込み分を、LDCやPDPなどのフラットパネルや、デジタルAVの成長格にのし上がったDVDレコーダー向け受注で、カバーする形が続いている。
 どのメーカー、どの製品でも使うことができる汎用タイプの電子部品は、値下げ要請が厳しく価格競争も激しい。これに対し、たとえばマブチモーターは、汎用モーターで圧倒的なシェアを押さえることで、事実上の業界標準を作り上げる戦略をとっている。一方、取引先の要求に応じたカスタマイズ品は、汎用に比べれば利益率は高いものの、手間がかかるし値下げ要請から逃れられるわけではない。したがって汎用、カスタマイズ間での優劣はつけにくい。
 また、最終製品が売れなければ組み込む電子部品も売れないのが、電子部品メーカーの最大の泣きどころ。そこでここ数年は、PCや携帯電話よりも底堅く安定した需要が見込め、かつ電装化が進む自動車関連市場への傾斜を強めている。カーナビゲーションシステム等の情報通信機器を数多く搭載するようになっていることや、自動車部品メーカーの系列システムが崩れて、参入機会が増えていることも追い風になっているようだ。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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