財務資料パンドラ文書が明かす租税回避地蓄財 ブレア元英首相も登場する特に不都合な6件の手口

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国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公表した「パンドラ文書」と呼ばれる膨大な財務資料は、世界の現旧首脳や政治家の多くがタックスヘイブン(租税回避地)を利用して資産を蓄えていたことを明らかにした。

この資料は法務・金融サービスを手掛ける14社からICIJが入手したもので、合計1190万点、ファイルサイズは2.94テラバイトに上り、規模は2016年のパナマ文書を上回る。「民主主義大国を含む世界の隅々でオフショアのマネーマシンが稼働し」、知名度の高い世界有数の銀行や法律事務所が複数関与していることが明らかになったと、ICIJは指摘した。

パンドラ文書で明るみに出た取引のうち、特に目を引く内容は以下の通りだ。

 

ICIJが調査した膨大な量の文書で、租税回避と蓄財にオフショア企業がどのように利用されているか詳細が明らかになった 

 

ヨルダン国王の不動産帝国

ヨルダンのアブドラ国王はスイスの会計士と英領バージン諸島の弁護士を使って、総額1億600万ドル(約120億円)相当に上る高級住宅14件を秘密裏に購入したと、ICIJは伝えた。海岸を見下ろすカリフォルニア州の物件、2300万ドル相当も含まれるという。ヨルダンは国民や数百万人規模の難民の生活支援で外国からの援助に頼っている。同国王の弁護士らはICIJに対し、ヨルダン法で国王は税金の支払いを義務付けられておらず、公金を流用したことは一度もないとし、「オフショア企業を通じて不動産を保有しているのは安全とプライバシーの理由からだ」と説明した。

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