新首相がいきなり奇策「31日へ選挙前倒し」の成否 側近たちも「意外」と驚いたその狙いとは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その一方で、新政権の党・内閣人事をみる限り、総裁選を経て事実上のキングメーカーとなった安倍、麻生両氏の影響力は隠しようがない。岸田首相も甘利明幹事長も加えた3氏の頭文字からの「3Aシフト」と揶揄されるのは承知のうえとみられる。

新政権で党運営を仕切る党4役は、甘利幹事長のほか、福田達夫総務会長、高市早苗政調会長、遠藤利明選挙対策委員長、さらに、内閣で首相を支えるのは松野博一官房長官という陣容だ。

甘利氏は麻生派最高幹部で安倍氏とも親しく、高市氏は安倍氏側近で、松野氏は安倍氏が事実上支配する最大派閥細田派の事務総長。加えて、麻生氏は9年近く務めた副総理兼財務相から党副総裁に立場を替え、新政権ににらみを利かせる構えだ。

このため、野党だけでなく多くのメディアが「党改革どころか、権力闘争の果ての“安倍・麻生忖度政権”」と批判するのは当然の流れだ。

福田氏大抜擢と高市氏封じ込めで安倍氏に抵抗

ただ、岸田首相も唯々諾々と安倍、麻生両氏の要求に従ったわけではない。「安倍氏は当初、高市幹事長と萩生田光一官房長官を求めた」(首相周辺)が、首相は抵抗し、高市政調会長、松野官房長官に差し替えた。

「保守派のマドンナ」として総裁選で健闘した高市氏を、政策立案責任者の政調会長にすることで言動を封じ込める狙いが透ける。さらにいずれも安倍氏とは距離があるとされる松野氏の官房長官起用と福田氏の総務会長大抜擢は「安倍傀儡政権との批判をかわす思惑」(同)からだ。

さっそく、安倍氏サイドからは「安倍さんは思惑が外れていらだっている」(周辺)との声が噴き出し、主要メディアも「首相の意地」を指摘して安倍・麻生シフトに疑問符をつける方向に軌道修正した。これには岸田周辺も「作戦成功」とほくそ笑む。

次ページ菅グループと二階派の中軸はポストから排除
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事